くらしの相談、市政への要望は日本共産党柏原市会議員団までお気軽にお寄せください。

活動報告

「柏原市個人情報の保護に関する法律施行条例の制定ついて」の反対討論

江村じゅん議員が「柏原市個人情報の保護に関する法律施行条例の制定ついて」の反対討論を行いました。

 

職員側に立っての賛成討論の後、採決の結果は、共産党以外の賛成で可決されました。

 

討論内容です。

日本共産党の江村淳です。

議案第60号 柏原市個人情報の保護に関する法律施行条例の制定について、「反対」の立場から討論をおこないます。

 

今回提案されている、個人情報保護の施行条例について、本会議でも、総務産業委員会でも、質疑してきましたが、市民にとって個人情報が守られる保障がないと考えるものです。

 

柏原市では、個人情報保護条例の「改正」でなく、施行条例の「制定」となっています。これは国の「個人情報の保護に関する法律」が改正され、社会全体のデジタル化に対応して「個人情報保護法制の一元化」、「個人情報保護とデータ流通の両立・強化」および「個人情報保護制度の国際的調和」を図るためとの説明でした。また、新法の規定が適用される令和5年、2023年4月1日までに、「柏原市個人情報保護条例」を廃止し、新法を運用する施行条例の制定を迫るものとなっています。

 

現行条例第1条の(目的)と、制定される条例の第1条の(趣旨)を比較すると違いが歴然とします。

 

現在の「柏原市個人情報保護条例」第1条の(目的)は「この条例は、個人情報の適正な取扱いの確保について 必要な事項を定めるとともに、市の機関が保有する個人情報の開示、訂正等を請求する権利を明らかにすることにより、個人の権利利益の保護を図り、もって基本的人権の擁護に資することを目的とする。」なっています。

 

一方、新条例の第1条は、改正された国の個人情報保護法を参照することになっています。法第1条の(目的)の概略を紹介します。

 

冒頭から、「デジタル社会の進展に伴い個人情報の利用が著しく拡大していることに鑑み…」と、その狙いがハッキリと見て取れます。続いて、「国及び地方公共団体の責務を明らかにする」「個人情報保護委員会の設置による、事務や事業の適正円滑な運営を図る」「個人情報の適正・効果的な活用による、新たな産業の創出、活力ある経済社会、豊かな国民生活の実現」などが記され、「個人の権利利益を保護することを目的とする」との規定です。

 

施行条例に反対する理由の1つ目は、「基本的人権の擁護」という文字が全くなくなったことです。

基本的人権は、国の最高法規である日本国憲法の3原則、すなわち国民主権、基本的人権の尊重、平和主義の重要な柱の一つで、基本的人権とは、人が生まれながらにして持つ権利です。

基本的人権を守る、と明記されていないことは重大です。これは、個人情報保護法だけでなく、もちろん施行条例にもありません。

 

反対理由の2つ目に、「個人情報の適正・効果的な活用による、新たな産業の創出、活力ある経済社会、豊かな国民生活の実現」と記されているからです。

特に、「新たな産業の創出」や「活力ある経済社会」、これは、市民のみなさんの個人情報を、企業などの利益のために使うことが、ハッキリと述べられています。

 

反対理由の3つ目に、市民の情報を一番多く持っているのは地方自治体で、その情報を国の機関が一手に握ることになるからです。

 

反対する理由の4つ目は、意見募集、パブリックコメントの募集の問題です。大事な条例を決める時に、広く意見を募集し、意見を考慮して公正で、透明性が高まるよう、パブリックコメントを実施されましたが、意見はなかったとの報告でした。

パブリックコメントを実施しない自治体がある中で、柏原市が実施されたことは、評価いたします。

しかし、期間が2週間と短く、広く意見を募集できたとも思えません。

 

先日私のところに、「個人情報保護の条例が改定されると聞いて、ぜひ意見を述べたい」との意見が寄せられました。

募集期間がすでに終了していることを伝えますと、期間が短すぎることと、周知や広報がどうだったのかと残念がっておられました。

調べてみますと、大阪府内の自治体では、パブリックコメントの募集期間が、3週間から4週間のところが多数ありました。

 

反対する理由の5つ目に、「個人情報保護法制の一元化」により、市の「個人情報保護の施行条例」にも縛りをかけることも問題です。

 

「匿名加工情報の募集提案制度」いわゆる「オープンデータ化」の取り組みで、個人情報を提供するために、個人・人物が特定できないように加工する必要があります。柏原市としては「先行導入事例等の検証をしながら調査・研究していきたい」。

また、「現時点での、本施行条例への規定はしない」としています。これは市民にとって大事なことです。

 

この12月、「マイナ情報使い保険金請求促進 日本生命 業界初」という「朝日新聞」の記事が目に留まりました。日本生命保険が12月から、マイナンバーカードの情報をもとに、死亡保険金の請求を勧めるというサービスを始めました。

例えば、死亡保険に加入しているご主人が亡くなり、マイナンバーカードの効力が失われると、保険会社は市などに問い合わせて、保険契約者の安否を確認し、妻や家族などの保険金の受取人に、請求手続きをお勧めする、というものです。こういうサービスが広がっていくと考えられます。

いまでも、マイナンバーの活用が始まっており、個人情報が外部に持ち出され、匿名加工したとしても個人の尊厳を守ることできるのか、大問題です。

 

反対理由の6つ目に、個人情報保護法による共通ルール化の最大の目的が、匿名加工情報制度と情報連携を自治体におこなわせるためです。

匿名加工情報が本人の同意を得ずに、第三者への提供、目的外利用が可能となるわけですが、企業のもうけのために外部提供していくことが、行政の仕事と言えるのでしょうか。

これも大問題です。

 

反対する理由の7つ目に、個人情報の収集や利用が適切かどうかを審議するのは、市の「情報公開・個人情報保護審査会」から、国の「個人情報保護委員会」が全国的に事案を扱うことになるからです。

国の「保護委員会」の集中と混雑は想像に難くありません。保護委員会の6月発表では、一年間で国内の民間事業者が起こした個人情報の漏えい事件の報告件数が、法改正した令和2年度(2020年度)の4,141件から、令和3年度(21年度)5,846件へと増加しています。

また12月には、今年22年上半期の個人データの漏えいは、昨年上半期の約3倍と報告されています。

 

今回制定しようとする、個人情報保護に関する法律施行条例は、市民にとって、基本的人権の擁護が欠落する問題、市民の個人情報を、国が一手に引き受け、企業などの儲けのために活用する問題など、根本的な問題点が解決されません。

日本共産党は、以上の理由から、この議案第60号『柏原市個人情報の保護に関する法律施行条例の制定について』反対を表明するものです。以上で討論を終わります。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

コメントフィード

トラックバックURL: http://jcp-kasiwara.org/blog/archives/2190/trackback