サービス向上どころか 暮らし・福祉破壊する「大阪都構想」
橋本みつおも橋下徹退場にむけ、「大阪都構想反対」のため大阪市支援にはいります。
橋下・維新の会は、大阪市を廃止して5つの特別区に分割しても「住民サービスはいまより向上します」と大宣伝しています。日本共産党の山下芳生書記局長は、大阪革新懇と全国革新懇の街頭演説(18日、大阪市内)で、子どもの医療費助成制度と国民健康保険(国保)を例に、大阪市の廃止・解体で住民サービスの低下は避けられないことを、分かりやすく明らかにしました。
「中卒まで」維持できない——子ども医療費助成
「大阪市がなくなっても、自分の暮らしがそのまま維持できるなら、別にかまわない」と思っている方もいらっしゃるかも知れません。しかし、そうはいかないというのが、橋下さんの『大阪都』構想です」——こう切り出した山下氏。
政令市の財源生かし上乗せ
大阪市の子ども医療費助成制度は現在、中学卒業までが対象。一方、府内の自治体で中学卒業まで助成しているのは、4分の1しかありません。府の制度は入・通院とも小学校入学前までしかないのが最大の原因です。
大阪市が独自の上乗せをして中学卒業まで助成できているのはなぜか。山下氏は「助成制度の拡充を求める市民の大きな運動があったことと、さらに大阪市に特別の権限と財源があるからだ」と強調しました。
大阪市は全国に20ある政令市の1つで、一般の市にはない権限と財源があり、それを使ってさまざまな市民サービスを行っています。
府からの配分 何の保証なし
「大阪都」構想で大阪市がなくなり、5つの特別区に分割されるとどうなるか。山下氏は、「いま大阪市の財源を5つに分けて与えるのではない。これまでの大阪市の財源のほとんどは、大阪府に取り上げられてしまう」と述べました。
山下氏は「特別区設置協定書」に基づく試算を紹介。大阪市の市税収入(2012年度決算)は6270億円ですが、大阪市の廃止後に特別区に渡されるのは1642億円にとどまり、あとの4627億円は府が取り上げてしまうことを示し、「市税収入のたった4分の1しか特別区には残らない。これでは大阪市独自の上乗せをやって、中学卒業まで子どもの医療費を助成することができなくなる心配が大です」と語りました。
橋下徹大阪市長(大阪維新の会代表)が、「大阪府から特別区にちゃんと財源を渡す」などと主張していることについて山下氏は、「何の保証もありません」ときっぱり。「地方自治を担当する総務省に聞いても、『何も決まっていません』という説明です。(特別区への配分は)府の条例で決めることで、特別区の議会で何を決めても通用しません」と警告しました。
1人2.3万円の大幅値上げ——国民健康保険料
国保会計への繰り入れなく
橋下市長は、大阪市は国保会計が黒字であるにもかかわらず、2013年から2年連続で国保料を値上げしてきました。それでも市は国保料が高すぎることがないように、一般会計から国保会計に年間176億円を繰り入れしています。
山下氏は、「大阪市が廃止され、財源もなくなって繰り入れができなくなると、国保料を抑えることができない」と指摘。国保料は1人当たり年間2万3千円、4人家族では10万円ほどの値上げになることを示しました。
「これまでなら、『それは困る』『保険料値上げやめて』と声を上げ、大阪市議会議員に頼んで市政に届けることができました」と山下氏。ところが大阪市が廃止されると大阪市議会も、大阪市議会議員もなくなります。新たに特別区議会の議員を選びますが、人口34万人の「湾岸区」でわずか12人など極めて少ない定数です。
住民から遠く 声届かぬ構想
山下氏は「特別区議会の議員に国保のことを頼んでも、その議員に国保についてものを言う権限はありません」と指摘。なぜなら国保は5つの特別区ごとに運営せず、5つの特別区が協力して「一部事務組合」をつくり、そこで国保や介護保険、水道のサービスを担うことになるからです。
「一部事務組合」にも議会ができますが、特別区議会議員のごく一部しか選ばれません。
山下氏は「『国保料下げて』という声を届けることができなくなる。市民の暮らしや福祉のサービス水準が下げられることに対して、意見を言うことができなくなる、住民から縁遠いものになるのが『大阪都』構想です」と批判しました。
(大阪民主新報、2015年4月26日付より)
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