日本共産党第30回大会決議案
15日(木)は、助け合いの日。
しんぶん赤旗の配達。
記事。
未来社会の輝き 党の魅力 改定綱領(案)を国民の中へ/大運動の目標達成へ 全支部・全党員の運動必ず/第30回党大会諸議案を採択/10中総終わる

日本共産党の第10回中央委員会総会で14日に採択された、「日本共産党第30回大会決議案」は次のとおりです。
第1章 改定綱領(案)を力に、日本を変え、世界に働きかけ、党をつくろう
(1)「いま考え得る最良の綱領」に--全党の学習・討議で歴史的綱領をつくろう
第30回党大会は、党綱領の一部改定をおこなう歴史的党大会となる。
綱領一部改定案は、日本共産党がめざす社会について、「社会主義・共産主義の社会の最大の特徴・目的は、人間の自由をあらゆる意味で豊かに保障し開花させることにある」という命題を正面から押し出し、全体的な改定を提案している。
これは、マルクスの未来社会論を、旧ソ連流のゆがんだ解釈から全面的に解放し、その真の輝き--「各個人の自由で全面的な発展」「自由な時間」を軸にすえた未来社会論を明らかにするという、歴史的な綱領改定となる。この改定によって、日本共産党が終局的な目標とする社会が、綱領に生き生きと示される。それは、共産主義に対するさまざまな偏見や誤解を克服し、資本主義を乗り越えた未来社会の魅力を、国民の中に広げる決定的な力となるだろう。
一部改定案は、現綱領の記述を最大限に引き継ぎながら、綱領の全体を対象にして、情勢の進展と党の認識の発展をふまえ、必要不可欠な改定を提案している。自民党政治のゆきづまりの現状の告発と民主的改革の課題、ジェンダー平等の視点の徹底、気候危機、AI(人工知能)への対応、ケア労働など、日本と世界の熱い焦点となっている課題をどうとらえ、どう打開するかが、綱領に新たに明記されることとなる。
一部改定案は「いま考え得る最良の綱領」へと党綱領を発展させるものとなっている。全党が深く学び、討議し、その英知を結集して練り上げ、第30回党大会において歴史的綱領を全党の力でつくりあげよう。
(2)綱領一部改定案には、全党の奮闘と努力が結実している
綱領一部改定案は、第29回党大会期の全党のみなさんの不屈の奮闘と努力によってつくられたものである。
第一に、第29回党大会決定と、それにもとづく、「自由な時間」を軸としたマルクスの未来社会論に光を当てた理論的探求--『Q&A 共産主義と自由』(青本)、『Q&A いま「資本論」がおもしろい」(赤本)、『自由な時間と「資本論」』(緑本)の学習・対話運動が一部改定案に結実している。
「赤本」「青本」の学習は、全国で約8500の支部に広がり、労働者や学生が参加する学習会が党外にも広がっている。マルクスの『資本論』を主題とした科学的社会主義の学習・対話運動を、党活動の中心課題の一つとしてとりくんだのは、党の104年の歴史の中ではじめての画期的なできごとである。
この学習・対話運動をつうじて、資本主義の矛盾を日常の生活と労働のなかでつかむという、まったく新しい学びが発展し、「自由な時間」への切実な要求が自覚化され、いまとりくんでいる社会を変えるたたかいが未来社会と地続きであることがつかまれている。それは、マルクスの理論と思想が、現代を生きる多くの人々の心に響くことを示すものとなっている。全党の新しい学習と対話への挑戦が、一部改定案に結実していることを確信としよう。
第二は、「大軍拡反対」「憲法9条守れ」「富の一極集中をただそう」など、この間、全党のみなさんが、国民運動や選挙活動、党づくりなどで訴えてきた内容が、一部改定案の日本社会の現状規定、民主的改革の課題に盛り込まれているということである。
日米一体ですすめられている「戦争国家」づくりの現状について、一部改定案は、「軍国主義の全面的復活の危険が生まれており、憲法第9条の改定をはじめとする憲法改悪は、その最大の焦点となっている」と規定している。他の主要政党の多くが、安保法制とそれを具体化する大軍拡を容認・推進するもとで、わが党は一貫して安保法制廃止を掲げ、大軍拡と9条改憲に断固として立ち向かってきた。だからこそ、一部改定案で「軍国主義の全面的復活の危険」に強い警鐘を鳴らし、これを許さない“闘争宣言”を行うことができるのである。
暮らしと経済の問題では、新自由主義の経済政策が押し付けられたことによって、「もともと弱かった国民の生活と権利を守る社会的ルールがいっそう弱体化させられた。大企業の利益と内部留保は増えたが、株主の目先の利益が最優先され、労働者と中小企業にはコストカットが強いられている。それは一握りの大企業と大株主・大資産家への富の一極集中をつくりだすとともに、貧困と格差をいちじるしく拡大し、国民生活と日本経済の長期にわたる停滞・悪化を引き起こしている」という新たな現状規定を行っている。これは、「富の一極集中をただし、働くものが生み出す富を、労働者と国民の手に」という、2025年参院選挙以来の全党の訴えを踏まえて、それを綱領の規定に明記したものである。全国の支部・党員のみなさんの奮闘の結晶としてつくられつつある改定綱領(案)をみんなの手で練り上げ、立派に仕上げよう。
(3)改定綱領(案)を力に、日本を変え、世界に働きかけ、党をつくろう
第30回党大会で、歴史的な綱領一部改定をやりとげ、改定綱領(案)を力に、日本の民主的改革の新たなたたかいに挑戦しよう。世界に働きかけよう。改定綱領(案)でつよく大きな党をつくろう。
まずは、いまとりくんでいる党勢拡大運動に生かそう。「改定綱領(案)パンフレット」を思い切って活用し、全党が党員拡大に踏み出し、新しい党員を迎え、党勢の前進のうねりのなかで第30回党大会を迎えよう。
第2章 激動の世界--大逆流とこれに対抗する力の躍動、日本共産党の働きかけ
(1)「力による支配」の大逆流--平和の国際秩序の確立へ、連帯してたたかう
いま世界は、国連憲章と国際法の形骸化を許すのか、それとも平和の国際秩序を確立するのか、重大な岐路にある。
アメリカのトランプ政権は、第2次世界大戦後、アメリカがまがりなりにも掲げてきた「法の支配」をかなぐり捨て、イランへの違法な武力行使、キューバへの無法な燃料封鎖をはじめ、横暴勝手な「力による支配」を繰り返している。トランプ米大統領は、戦争犯罪などを裁く国際刑事裁判所(ICC)を「ならず者」とまで言い放ち、“制裁”と解体の脅しまで行っている。
ロシアによるウクライナ侵略戦争は4年を超えた。イスラエルによるガザでのジェノサイド、ヨルダン川西岸での暴力と強奪による入植拡大は、多数の子どもと女性を含む住民のおびただしい犠牲を拡大し、国際社会に強い怒りを広げている。
ICC元裁判官ナビ・ピレイ氏のノーベル平和賞受賞を心から祝福する。これは現下の戦争犯罪とジェノサイドに対する弾劾であり、これとたたかうすべての人々への熱い連帯である。日本共産党は、戦争と抑圧を終わらせ、公正な紛争解決をめざして、パレスチナ、イラン、キューバ、ウクライナをはじめ、無法な侵略とたたかう各国人民と連帯してたたかう。いかなる覇権主義にも反対し、諸政府、市民社会、国際機関と連帯して、国連憲章・国際法にもとづく平和の国際秩序の回復と確立を求めて奮闘する。
(2)未来ある流れと、日本共産党の働きかけ
「力による支配」の大逆流に抗して、平和と進歩を求める未来ある流れが、躍動的に発展している。第29回党大会期、わが党はこの流れを前にすすめる、積極的な働きかけをおこなってきた。
《核兵器--NPT再検討会議から見えた世界と日本共産党のとりくみ》
2026年の核不拡散条約(NPT)再検討会議は、核保有国による無法な戦争と核威嚇という逆流のもとで、どのような成果文書を発出するかが問われる会議となった。わが党代表団は、核保有国を含むすべての締約国が受け入れ可能で、かつ「核兵器のない世界」にむけて積極的意義を持つ成果文書が発出されるよう、会議主催者、国連担当者などへの要請をおこなった。NPT第6条にもとづく核軍備撤廃のための義務の履行を核保有国に強く求めることを、要請の力点においた。
会議をつうじて、「条約第6条の義務を果たせ」と核保有国に迫る国が締約国の7割におよぶなど、わが党の要請の方向が世界の圧倒的多数の声に立ったものであり、また、会議を成功させようと真剣に努力している会議主催者や国連担当者の思いと合致していることが明らかとなった。成果文書は核保有国などの妨害によって採択にいたらなかったが、核保有国に第6条の履行を迫ること自体が、「法の支配」を求める行動であり、それが圧倒的多数となったことは、今日の世界の大きな希望である。
2026年11月には核兵器禁止条約第1回再検討会議がおこなわれる。世界の諸政府と被爆者を先頭とする市民社会の力があわさって誕生したこの歴史的条約は、100を超える国・地域が署名、批准するまでに広がり、核兵器の非人道性を国際規範とし、「核抑止力」論をのりこえて核兵器廃絶へと世界を動かす、確かな道を切り開いている。日本共産党は、この条約の誕生の時(2017年7月)から一貫してその前進に力をつくしてきた党として、第1回再検討会議の成功のために力をつくすとともに、日本政府が一刻も早く核兵器禁止条約に署名・批准することを強く求める。
《ASEAN--逆流渦巻く世界で着実な前進》
東南アジア諸国連合(ASEAN)は、米中の対抗が強まるもとで、どちらの側にも立たず、ASEANの中心性と自主独立の立場を貫き、対話と包摂による平和の地域協力を、着実に前進させている。
2026年、ASEANの基盤である東南アジア友好協力条約(TAC)の締結から50周年を迎えたこの年に、ASEANは、62の国と地域に広がったTAC締約国に、「紛争の平和的解決」「内政不干渉」などTACの原則への理解と順守を求め、TACを実践的な協力の枠組みへと発展させる努力を新たに開始した。平和の規範を生きた実践の課題に発展させる、TACの新たな進化がはかられていることは重要である。
わが党は、第29回党大会決定の具体化として、2024年4月に「東アジアの平和構築への提言--ASEANと協力して」を提唱し、対話と包摂による平和の地域協力を東アジア全体に広げることを呼びかけ、国内外での働きかけをすすめてきた。
2024年11月、カンボジア・プノンペンでおこなわれたアジア政党国際会議(ICAPP)総会で、わが党代表団は「提言」の方向で働きかけをおこない、採択された「プノンペン宣言」には「対話と包摂で平和をつくる」との方針が明記された。アジアの与野党がイデオロギーの違いを超えて集う国際会議で、わが党の「提言」の理念が全体の合意となったことは、アジアにおける平和の本流と日本共産党の外交方針が深く共鳴することを示すものである。
《アメリカ--世界で唯一最大の帝国主義の心臓部での激変、日本共産党との連帯》
トランプ大統領が世界でも国内においても「力による支配」をふりかざすもとで、これに抗する「NO KINGS」(王はいらない)集会に全米で800万人が参加するなど、アメリカ国内で、逆流に抗する激動が起きている。
そのなかでも、アメリカ民主的社会主義者(DSA)は、ニューヨーク市長選挙での勝利など、組織的・政治的にめざましい躍進を始めている。
わが党は、2026年4月~5月に行った北米訪問で、DSA幹部との初めての会談をおこない、双方の協力と連帯の関係を公式に確立することで一致した。DSAが、家賃値上げ凍結、保育無料、バス無料、富裕層への課税強化(タックス・ザ・リッチ)など暮らしの切実な要求実現を掲げるとともに、綱領で「US戦争マシンを終わらせる」として、軍事費の大幅削減、すべての戦争の終結、外国軍事基地の撤去を明記し、この立場での活動を展開していることは、重要である。会談で、日本共産党とDSAは、①トランプ政権による無法な戦争に反対する、②日米両国の大軍拡に反対する、③在日米軍基地の撤去と対等・平等・友好の日米関係をつくる、④「核兵器のない世界」の実現、核兵器禁止条約を広げる--という課題での連帯を確認した。
アメリカは、資本主義の“総本山”とみなされ、世界に軍事基地を張りめぐらせ、軍事介入を繰り返している世界で唯一最大の帝国主義の国である。国内では「赤狩り」が繰り返され、社会主義勢力が破壊されてきた歴史もある。このアメリカ帝国主義の心臓部で、社会主義を公然と掲げた勢力が伸長している意義はきわめて大きい。そしてこの勢力と日本共産党が連帯の関係を確立したことは、日米安保条約の廃棄、在日米軍基地の撤去、対等・平等・友好の日米関係への転換という、わが党綱領の実現にとっても、大きな意義をもつものである。
《欧州での攻防のなかで--ドイツ左翼党のたたかいに学ぶ》
欧州では、ロシアによるウクライナ侵略のもと、軍事同盟強化と大軍拡が強行されるとともに、排外主義勢力が台頭するという困難な情勢がある。そのなかで、欧州の左翼・進歩勢力は、こうした平和と民主主義への逆行に反対し、国によってさまざまな違いはあるが、全体として健闘し、一連の国ぐにでは前進・躍進をかちとっている。
とくにドイツ左翼党(リンケ)の躍進は注目すべきである。2026年9月、首都ベルリンの市議会選挙で、左翼党は、前回の2倍以上となる得票率25・7%を獲得し、第1党に躍り出た。2024年8月~9月に、わが党代表団は欧州を訪問し、ドイツ、ベルギー、フランス、イギリスの左翼・進歩勢力と会談、交流をおこなった。このとき、ドイツ左翼党は、有力議員が離党して新たなグループをつくるという困難に直面し、連邦議会では議席減少により会派資格を失い、また、従来は強固な支持をもっていた州議会選挙で後退するという状態にあった。
しかしドイツ左翼党は、2025年2月の総選挙から見事な躍進へと転じた。その最大の要因は、住宅問題をはじめ、暮らしの切実な要求で大規模な戸別訪問と対話にとりくみ組織を拡大したこととともに、総選挙の直前に、ドイツ連邦議会の野党第1党であったキリスト教民主同盟が、台頭する極右政党ドイツのための選択肢(AfD)との協力に踏み出すという大逆行が起こった際に、左翼党が連邦議会で、「われわれが民主主義を守る防火壁になる」と宣言し、「ファシズム反対」を断固として訴えたことにあった。国の進路が問われる決定的な場面で、断固として平和と進歩の立場を貫いたことが躍進につながったドイツの同志たちの奮闘は、日本のたたかいの前途にも重要な教訓と大きな希望をもたらすものである。
欧州の同志たちの奮闘に負けない頑張りを、この日本でも展開し、新たな躍進を切り開こうではないか。
(3)人類生存の危機に科学の力で立ち向かう--一部改定案の二つの補強点
綱領一部改定案は、気候危機とAI(人工知能)を、人類の生存と社会の未来にかかわる新たな重大課題として補強して位置づけた。
《気候危機--現状をどうとらえ、どう対応するか》
氷河崩落、熱波・干ばつ、集中豪雨など、気候危機は世界各国でも日本でも甚大な被害をもたらしている。
国連環境計画(UNEP)の報告書(2026年9月)は、産業革命以降の世界の平均気温の上昇が1・5度を超える「オーバーシュート」の時代に突入し、より深刻な被害が起きる危険性を指摘した。同時に、「上昇幅を可能な限り小さく、短く抑える」ならば、破滅的危機を回避できるとして、「前例のない行動」をよびかけている。
科学者たちは、1・5度を超える上昇幅が大きくなり、期間が長引くならば、一連の重要な事象で地球環境が回復不能となる転換点(ティッピング・ポイント)をこえることを強く警告している。すでにその事象の一つである、グリーンランドの氷床の融解、低緯度でのサンゴ礁の消滅などが進行している。いま「前例のない行動」を起こせば、まだ間に合うが、必要な行動をとらなければ手遅れになる--これが、気候危機の現状である。この問題で根拠のない楽観論を振りまくことはけっして許されないが、もう手遅れだと悲観論に陥ることも正しくない。
アメリカのトランプ大統領のように、気候危機を「詐欺」などと科学を否定する主張を退け、温室効果ガスの削減目標を早期に達成し、さらにCO2実質排出ゼロへと向かわなければならない。気候危機は、資本主義の「利潤第一」の経済システムによって引き起こされた大災厄である。緊急の対応を求めるとともに、資本主義のシステムをこのまま続けてよいのかを問いかけていこう。
《AI--科学的社会主義の立場でとらえ、対応する党》
AI(人工知能)は、労働時間の大幅な短縮、科学の発展、医療や健康など、さまざまな面で人類に大きな恩恵をもたらす可能性がある技術である。一方で、AIの急速な発展と普及は、人類に二つの重大な危険をもたらしつつある。
一つは、資本主義的な利用がもたらすリスクである。国際労働機関(ILO)は、全世界の雇用の4分の1が、生成AIの影響を受けると指摘している。AI利用による雇用破壊、労働強化の危険もある。また、巨大データセンター(DC)による大量の電力・水の消費などの環境破壊、プライバシーと個人情報保護への新たなリスクも生じている。AI巨大企業への富の集中と格差の拡大も、重大な問題となっている。
なかでも重大な危機は軍事利用である。人間の判断を超えた攻撃と殺りく、さらには指揮統制や核兵器の運用にAIが組み込まれることで、人間の判断によらず戦争が開始され、核戦争が引き起こされる危険がある。
もう一つ、より深刻なリスクは、資本主義のもとでのAIの無秩序な開発競争の結果、当事者たちの意志にも反して、人間がAIを制御できなくなり、人類社会に破滅的な打撃をもたらすという重大かつ深刻な危険である。すでに、開発中の最先端AIが人間の指示に従わず、人間を欺く行動をとる事例が相次いで報告され、数百人のAI研究者が、最悪の場合には「人類絶滅」の危険性があると警告している。
日本共産党は、科学的社会主義の立場から、AIをどうとらえ、どう対応するかについて、突っ込んだ見解を先駆的に明らかにしてきた。『資本論』でマルクスが解明したように、資本主義のもとでの技術の発展が、人類にとってプラスとともにマイナスをもたらすこととともに、AIが人間の知性--脳の働きを代替する点で、これまでの技術の発展にはない質の異なる問題を引き起こすことを重視し、「AIの二つの危険」という形で警鐘を鳴らしてきた。
日本共産党は、最先端AIの開発競争を一時停止・中止するために、国際的な協定を緊急に結ぶことを強くよびかける。AIの軍事利用の禁止と民主的規制も急務である。AIの二つの危険は、どちらも資本主義がつくりだしたものであり、地球的規模で社会主義へと進むことが、そして人類がAIを賢く使いこなせるように知的・精神的発達をとげることが、この問題でも根本的な解決となることを強調したい。
(4)国際的な理論交流の可能性と重要性--「自由な時間」を軸として
日本共産党は、第29回党大会決定にもとづく未来社会論の探求と一体に、科学的社会主義の国際的な理論交流に踏み出した。発達した資本主義国の左翼・進歩諸党や研究者との間で、マルクスの『資本論』を導きに、「人間の自由」「自由に処分できる時間」を軸として、社会主義・共産主義の理論交流にとりくんだことは、党の歴史のなかでも初めてのことである。
2024年9月のドイツ・ベルリンのローザ・ルクセンブルク財団での理論交流、25年~26年にとりくまれたカナダやアメリカのマルクス研究者、国際的な金融機関の中枢の仕事に携わってきた研究者との理論交流では、いずれも、「自由な時間」を軸としたマルクスの未来社会論で、理論的響き合い、接近、一致が確認された。マルクスの「自由な時間」論が、ジェンダー、気候危機、AI、ケアなど、人類の現在と未来にとって重要な課題を解決する鍵となる概念(キー・コンセプト)となることなどが、理論交流によって深められていることも重要である。
ベトナム共産党との理論交流で、社会主義・共産主義を「個人が自由で全面的に発展する社会」としてとらえ、「自由な時間」を人間の「真の富」とする見地で、共通の認識が確認された。このことは、「社会主義志向の市場経済」を掲げドイモイ(刷新)にとりくんでいる政権党との理論交流として、重要な意義をもつ。
世界の資本主義の矛盾がさまざまな形で噴き出すもとで、世界的な「マルクス・ブーム」が起こっている。同時に、私たちが国際的な理論交流をつうじて実感していることは、社会主義・共産主義をどう理解し展望するかという点では、欧州でも米国でも、左翼勢力が模索と探求の過程にあるということである。もちろん模索と探求の過程という点では、わが党も同じである。
マルクスの思想と理論はインターナショナルな力を持っており、また、本来、科学的社会主義の事業は、インターナショナルに発展させるべきものである。国際的な理論交流を強めることは、わが党の理論を豊かにし、日本の社会変革の事業の前進の力となるとともに、世界の運動への貢献にもなりうるものであり、さらに発展させていく。
第3章 自民党政治の「二つのゆがみ」をただし、新しい日本へ
(1)「二つのゆがみ」の矛盾は限界点に--この政治に未来はない
綱領一部改定案が明らかにしたように、自民党政治の根底にある「アメリカいいなり」「財界・大企業優先」という「二つのゆがみ」と国民との矛盾は限界点に達している。
《対米従属下の軍国主義全面復活の危険--憲法9条、安全保障、暮らしとの矛盾》
アメリカいいなりの「戦争国家づくり」は、あらゆる面で深刻な矛盾につきあたり、この暴走を続けるならば、さまざまな破綻が噴き出してくることは避けられない。
この暴走は、もはや憲法9条と両立しえない限界にまで達している。集団的自衛権行使容認の安保法制、「専守防衛」をも投げ捨てる「敵基地攻撃能力」=長射程ミサイルの配備と日米の指揮統制一体化、南西諸島の軍事要塞(ようさい)化などは、どれ一つとっても、憲法9条と両立し得ないものである。高市政権は、軍事費の「GDP(国内総生産)比2%以上」を2年前倒しで強行し、3・5%(年間24兆円)への大増額を狙い、武器輸出を全面解禁し、軍需産業支援など「経済の軍事化」をすすめ、非核三原則の見直し・放棄まで画策するなど、「戦争国家づくり」のさらなる暴走をしている。綱領一部改定案が明らかにしたように、「軍国主義の全面的復活の危険」が生まれていることは重大である。同時に、現状は、いまなお、公然たる海外派兵によって対外侵略をおこなう軍事・政治・経済体制=「軍国主義の全面的復活」にはいたっていない。そこには、憲法9条と国民の運動が平和の壁となって立ちはだかっている。「戦争国家づくり」の暴走を許すのか、憲法9条を守りぬくのか、いま日本は文字通りの歴史的岐路に立っている。
この暴走は、日本の安全保障を危うくするという矛盾におちいっている。政府は「安全保障環境の悪化」を理由に大軍拡を進めているが、外交抜きの軍事一辺倒の立場に立った空前の大軍拡は、軍事対軍事の悪循環--「安全保障のジレンマ」を引き起こし、日本の安全保障を危うくする結果を招いている。
この暴走は、国民の暮らしとの抜き差しならない矛盾を深刻にしている。軍事費は2022年度の5兆円規模から10兆円規模となり、あらゆる分野で暮らしの予算を圧迫している。アメリカが要求するGDP比3・5%に応じれば年間24兆円、医療・介護・障害福祉・生活保護にかけている国の予算を上回ることになる。この道は、暮らしと経済を破壊する文字通りの“亡国の道”である。
対米従属のもとでの「戦争国家づくり」--「軍国主義の全面的復活」を阻止し、憲法9条を守りぬくたたかいを、今こそ強めようではないか。
《「財界・大企業優先」政治の矛盾と行き詰まり--「無謀」と「危険」の道しか示せない》
綱領一部改定案が明らかにしたように、日本経済は、「ルールなき資本主義」という構造的な弱点のうえに、弱肉強食と自己責任の新自由主義が押し付けられた結果、「激しい矛盾と危機、深刻な行き詰まり」に直面している。
新自由主義の経済政策によって「人件費のコストカット」「社会保障のコストカット」がすすめられ、労働法制の規制緩和、社会保障の連続改悪など、もともと弱かった国民の生活と権利を守る社会的ルールがいちじるしく弱体化させられた。大企業と大株主・大資産家への“富の一極集中”がもたらされ、大企業の内部留保は600兆円にも膨れ上がり、株主還元(配当と自社株買い)は5年間で2・2倍になった。一方、大企業の労働分配率は同時期に51・3%から史上最低の39・5%に下落した。大企業がどんなに利益をあげても、賃金は上がらず、暮らしの困難は増し、日本は「賃金が上がらない国」「経済成長ができない国」という異常な事態に落ち込んだ。
この道を続ける限り、日本経済の行き詰まりはいよいよ深刻になり、まともな出口はない。そうしたもとで、高市政権は、大企業への「370兆円官民投資」という「無謀」な税金のばらまき、「防衛と経済の好循環」=経済の軍事化という、これまでにない「危険」な道に突き進むことで、現状の反動的な打開をはかろうとしている。しかし、この道は、巨額の国債にたよる経済政策を見透かされ、円安と長期金利の上昇が急激にすすみ、経済と暮らしにさらなる災厄をもたらすという新たな破綻を引き起こしている。
「無謀」と「危険」の道しか示せない政治に、日本経済のかじ取りをまかせ続けるわけにはいかない。財界・大企業優先の政治のゆがみを根本からただし、国民の暮らし第一の政治にきりかえることが、今ほど切実に求められているときはない。
《自民党政治に未来はない。国民とともにたたかい、改定綱領の改革の展望を語ろう》
平和でも暮らしでも自民党政治に未来はない。「アメリカいいなり」「財界・大企業優先」の政治と真正面から対決する立場に確固として立ち、国民の切実な要求を実現し、平和で持続可能な社会への展望と政策をもつ日本共産党の存在意義と役割は、かけがえのないものとなっている。国民の切実な要求をかかげ、国民とともにたたかい、改定綱領の改革の展望を語り広げ、政治を変えるたたかいを起こそう。
(2)「9条守れ、大軍拡反対」の揺るがない国民多数派をつくろう
《「戦争国家づくり」のあらゆる表れを許さないたたかいを》
長射程ミサイル配備、大型弾薬庫建設、「特定利用空港・港湾」の指定、米軍基地・自衛隊基地の強化など、戦争準備の軍備増強に反対するたたかいを各地ですすめよう。
沖縄の辺野古新基地建設の中止、普天間基地の即時無条件返還、基地のない平和で豊かな沖縄を求める沖縄県民と全国の連帯を広げよう。
「戦争国家づくり」のさまざまな表れを許さないたたかいを、幅広い人々との共同を広げながら発展させるとともに、「憲法9条守れ、大軍拡反対」の揺るがない多数派の結集を、たたかいの太い柱として貫こう。
《「戦争はいや」を入り口に四つの角度で学習と対話の大運動を》
「憲法9条守れ、大軍拡反対」の揺るがない国民多数派の結集をすすめるためには、「戦争はいや」という共通の思いを入り口に、疑問や不安に丁寧にこたえ、日本の平和と安全をつくる道がどこにあるのかをともに考えることが大切である。第8回中央委員会総会決定の実践・具体化としてとりくまれた『Q&A 戦争と平和』が提起した四つの角度での学習と対話に取り組もう。
①トランプ大統領いいなりの大軍拡で平和はつくれるのか--トランプ政権のイラン戦争には、北大西洋条約機構(NATO)加盟国も協力せず、スペイン、イタリアは自国の米軍基地使用を拒否した。ICC(国際刑事裁判所)解体と脱退を迫る無法な言動に対して、世界中から批判の声が殺到している。ところが、高市首相はアメリカの無法な行動を一言も批判せず、ひたすらこの政権にこびへつらう醜態を演じている。「世界の真ん中で咲き誇る外交」どころか、世界中に恥をさらす外交である。こんな無法なアメリカのいいなりに、大軍拡をすすめていいのか。「日米同盟絶対」で思考停止のままでいいのか。この声は、立場の違いをこえて広がっている。
アメリカで躍進するDSAは、在日米軍基地閉鎖・撤去の立場を打ち出し、日本の平和運動との連帯が始まっている。日米同盟絶対から抜け出す展望を、世界の未来ある動きとの連帯を強化するなかで、大いに学び、語ろう。
②軍事的抑止力強化で平和がつくれるか--抑止とは、相手に恐怖を与えることで相手を抑えつけようというものである。抑止力強化は、恐怖対恐怖、軍事対軍事の悪循環--「安全保障のジレンマ」をつくりだし、戦争のリスクを高める。これは人類の歴史が示す事実である。実際に、政府は「抑止の破綻」を想定し、自衛隊基地の強靱化、住民の避難計画などの戦場化の準備をすすめている。「抑止力強化によって平和をつくる」といいながら、「抑止の破綻」を想定して、戦場化の準備をすすめる。こんな矛盾した話はない。
対話による外交で、相手に安心をあたえ信頼関係を築くことこそ、真の安全保障である。日本共産党は、「東アジア平和提言」で、対話によって東アジアに包摂的な平和の枠組みをつくり強化する外交戦略を提唱し、その内容を日本政府にも提案し、20カ国をこえる駐日大使や外交官、日本政府、自治体首長、研究者、市民との対話を広げ、欧州やアジアでの国際会議で発言し、どこでも共感を広げてきた。対話による外交こそが平和をつくる--「東アジア平和提言」をさらに広げよう。
③中国との関係をどうするか--高市首相の「台湾発言」によって、日本政府は中国とまともな対話もできない事態に陥っている。ところが、高市首相は発言の撤回を拒否し、逆に、中国の脅威をあおって大軍拡をすすめるという、政治として最もやってはならない態度を取り続けている。いまアメリカを含め、世界のどの国でも、批判をもっていても中国と対話し、外交関係をマネジメント(管理)している。外交を管理できない政権に、日本の政治をゆだねるわけにはいかない。
日本共産党は、提言「日中両国関係の前向きの打開のために」(2023年3月)を発表し、日中両政府に、2008年の日中共同声明での「互いに脅威とならない」との合意を尊重し、双方がこの合意にふさわしい行動をとることなど、道理に立った両国関係の前向きの打開を繰り返し求めてきた。また機会をとらえて、東シナ海などでの力を背景とした現状変更の動きの自制を求め、台湾問題については平和的解決を求め、中国による武力の行使や威嚇に反対し、日米による軍事的関与にも反対するという、日本共産党の立場を直接伝えてきた。日本政府は、こうした道理ある外交こそとりくむべきである。
④憲法9条を守り、生かすことがどうして大切か--そもそも憲法とは、国民の権利や自由を守るために国家権力を縛るための最高法規であり、権力をもつ側が、改憲をあおること自体が憲法に背く--これが立憲主義の立場である。憲法9条には、侵略戦争によってアジアの人民に甚大な被害をもたらし、日本国民にも原爆投下をはじめ大きな犠牲を強いた反省から、“再び戦争国家にはならない”“「戦争のない世界」をつくるという理想を世界に先駆けて実行する”という二重の決意が示されている。
戦後、自衛隊は一人の外国人も殺さず、一人の戦死者も出していない。ここにも9条の偉大な力が働いている。9条に自衛隊を明記すれば、現行の条文が無効化され、無制限の海外派兵、集団的自衛権の行使が可能となる。それは、日本の軍国主義の全面的復活の道である。
「主権者は私たち」「憲法を勝手に変えるな」のたたかいのなかで、日本国憲法と恒久平和主義、憲法9条のそもそもの意義を学び広げよう。
(3)暮らしの困難打開、人間としての豊かさが広がる社会に--日本共産党の提言
暮らしの困難の打開へ、新自由主義の害悪をとりはらい、国民の生活と権利を守る社会的ルールを確立し、人間としての豊かさが広がる社会へと進もう。日本共産党として、次の七つの提案をおこない、たたかいをよびかける。
《第一。労働時間短縮=自由な生活時間の拡大と大幅賃上げを一体に》
もともと長期にわたって賃金が増えていないところに、物価高騰がおそいかかり、実質賃金は1996年をピークに年間80万円も減少した。残業規制がきわめて不十分なもとで、通勤時間、家事労働で、日本は「男女とも有償・無償をあわせた総労働時間が長く、時間的にはすでに限界まで『労働』している」(男女共同参画白書)実態にある。賃金も自由な生活時間もあまりに足りない現状を打ち破ろう。「賃上げも、時短も」--この声をあげよう。
財界も政府も、「賃上げ」と「長時間労働の是正」が必要と認めながら、“収入を増やしたいなら、もっと働け”“時短をのぞむなら非正規で働け”と「賃上げか、時短か」の二者択一を迫り、労働時間規制のさらなる緩和をねらっている。このわなに陥ってしまったら、労働者の苦しい暮らしは打開できない。「賃上げも、時短も」と、双方を求めるたたかいを発展させよう。
自分の生活を楽しむ、家族や友人と過ごす、社会的交流と活動をおこなう--自由な生活時間を拡大し、ほんとうに豊かな暮らしを手にするために、職場と政治を変えよう。
《第二。「消費税減税」「タックス・ザ・リッチ」で、公正な税制に改革する》
消費税は増税、大企業と大株主には減税と優遇--この不公平な税制は、国民生活を悪化させ、経済危機の重大な要因の一つとなった。物価高騰が、そのまま消費税負担のさらなる引き上げとなって家計に重くのしかかり、インボイスによってフリーランスや小規模事業者からは怨嗟(えんさ)の声があがっている。
高市政権は、国民の要求におされて消費税減税と言わざるを得なくなったが、「2年限定、食料品だけ1%」では、2年後の大増税を「確約」することになる。しかも、財源も示さない。この政権には不公平税制をただすという基本的立場がかけらもない。
消費税は廃止をめざし、ただちに5%に減税を。インボイスは廃止を。“タックス・ザ・リッチ”--大企業と超富裕層への減税と優遇の見直しを。公平・公正な税制への改革で、暮らしと営業を守り、経済を立て直そう。
《第三。安心の社会保障・学ぶ権利の保障を--大企業・軍事費優先の財政の大改革》
「成長のために痛みに耐えろ」「制度の持続可能性のため」--新自由主義の政策によって医療、年金、介護、障害者、生活保護など、あらゆる分野で社会保障の切捨てが続いている。それは国民の生活不安に拍車をかけ、経済の長期低迷をひどくするとともに、医療・介護は基盤の崩壊という制度の危機に直面している。高齢者と現役世代を対立させ、社会保障削減を押し付ける、悪らつな手法がとられている。
社会保障は、人間としての尊厳を全うして生きるための憲法で保障された権利である。社会保障の充実と安心は、経済を人間本位に発展させるうえでも最良の力となる。
あまりに学費が高く、「大学進学をあきらめる」「バイトでくたくた」など、若い世代の負担は限界を超えている。ところが、自民党政治は「受益者負担」だといって、大学学費の値上げを容認・推進し、「奨学金」という借金を学生に負わせている。この間、国民的な運動で、学校給食費の無償化、高校授業料の無償化・減額を実現してきた。若者の未来を奪う大学学費値上げを止め、値下げ、無償化へ向かわせよう。まだ残っている教育費負担を解消し、制度化も実現させよう。
ただすべきは、青天井で増え続ける軍事費であり、大企業へのバラマキである。国の予算は、まず社会保障と教育へ--国民の暮らし最優先の財政の抜本的改革を求めよう。
《第四。ケア労働を、人間の生命・発達・尊厳を保障する労働として尊重する》
ケア労働--医療・介護・教育・保育・障害者福祉などの労働は、生きている人間に働きかけ、人間の生命・発達・尊厳を保障する労働である。人間同士の全人格的なコミュニケーションを通じて、ケアをする人と、受ける人とが、ともに成長していくことにも、ケア労働の素晴らしさがある。労働の現場にさまざまな困難がありながら、多くのケア労働者がやりがいと誇りをもって頑張っているのは、この労働が、人間の尊厳を支え、人間社会の豊かさを支える、かけがえのない尊い意義をもっているからである。
ところが、自民党政治は、ケア労働の専門性や重要性を理解しようとせず、その処遇も配置基準もあまりにも低く抑えつけ、介護や医療に「効率」を押し付ける改悪を続けてきた。
すでにケア労働者は労働者の7人に1人に達し、ケアを受けている人を含めれば、その社会に占める比重は大きい。社会の変化とAIなど技術革新のもとで、ケア労働の比重は今後ますます高まってくるだろう。ケア労働を人間的なものとすることは、社会全体を人間の尊厳が尊重される社会にするということである。ケア労働を粗末にあつかう政治をあらため、人間の生命・発達・尊厳を守る、社会にとってかけがえのない公的な仕事として位置づけ、その専門性と重要性にふさわしい待遇の抜本的改善をはかろう。
《第五。住宅・交通・災害--公的責任を果たさせ、「公共をとりもどそう」》
「小さな政府」「自己責任」を押し付ける新自由主義によって、国や自治体が、住民に責任をもって提供すべき、住宅、交通などの公共政策が大きく後退し、災害対策も劣悪なまま放置されている。
家賃や住宅価格の高騰、高齢者やシングル女性が住居を借りられない--生存権の基盤である住まいが自己責任にされている。公的住宅の建設・供給をすすめ、欧州で当然となっている家賃補助制度や、家賃減税制度を日本でも創設しよう。住宅高騰と不動産投機を招いた規制緩和と大規模開発を見直し、“住まいは人権”の立場に立った住宅政策をすすめよう。
公共交通を「民間任せ」にし、大きく後退させた政治の責任はきわめて大きい。鉄道網を守るため、鉄道インフラを国が保有・管理し、運行はJRがおこなう上下分離方式を導入し、地方鉄道・バスの路線維持のため「公共交通基金」を創設し支援する。交通・移動の権利を保障し、安全性を大前提にした公共交通政策に転換しよう。
大規模災害が相次ぐもと、避難所の実態が100年前と変わらないことが大問題になっている。48時間以内の「TKB」--仮設トイレ、温かい食事、ベッドという政府指針を実行するために、備蓄を自治体だけにまかせるのではなく、国が必要な備蓄をおこない、災害発生時に迅速な支援ができる体制を抜本的に整備する。住宅再建、被災者の二重ローン問題への支援など、被災者の生活と生業(なりわい)を再建するための対策を抜本的に強化する。防災・減災のまちづくりをすすめる。
《第六。地域経済の再生--中小企業、第1次産業の振興を》
新自由主義によって、中小企業・小規模事業者の切り捨て・淘汰(とうた)がすすめられている。中小企業は日本経済の根幹であり、「社会の主役として地域社会と住民生活に貢献」(中小企業憲章)する存在である。大企業への内部留保に適切に課税して中小企業で働く労働者の賃上げへの直接支援をおこなう。大企業の横暴から中小企業を守るルールの整備、資金繰りの支援などの振興策をすすめる。
わが国の食料自給率は先進諸国で最低の37%、主食である米の安定した生産と供給もできない状態である。農業の担い手は100万戸を割り、生産基盤の弱体化がすすみ、日本の食と農は危機に直面している。それでも農産物の輸入自由化をさらに拡大しようという政治は、断じて許されない。農業をはじめ第1次産業を国の基幹産業として位置づけ、価格保障・所得補償、農業の担い手育成をはじめ、支援を抜本的に拡充する。食の安全と安定供給への責任を果たす政治に転換しよう。
《第七。持続可能な社会へ--気候危機打開、AI開発と利用への公正な規制を》
気候危機は、日本でも、豪雨災害、猛暑、農業や水産業への打撃など、深刻な被害をもたらしている。国連が求める「前例のない行動」を日本政府もとるべきである。化石燃料と原発にしがみつく政治を終わらせよう。石炭火力からの撤退、省エネルギー、原発ゼロとともに、市民参加で再生可能エネルギーを大規模にすすめ、温室効果ガスを「2035年度までに13年度比75~80%削減」させよう。
AIの無秩序な開発・利用が、人類社会に重大なリスクをもたらしている。日本政府に対して、米中をはじめとする開発国に、最先端AIの開発の一時停止・中止を求め、AIを人間の制御のもとに置くための規制と監視の枠組みをつくる国際協定を締結するよう、国際社会に働きかけることを強く求める。
AI利用が、国民生活と社会の発展に資するものとなるために、国として、リスクを調査・評価し、AI開発や大規模に利用する企業への監督・指導をおこなう。AIリストラ・不況を起こさないための対策、個人情報・プライバシー・著作権の保護、データセンターによる環境破壊の規制などをすすめる。AIを運用する巨大企業は、プラットフォームを持っているというだけで、国民から巨万の富を収奪しており、国内的にも、国際的にも、適正な課税をはじめ民主的規制のもとに置くことが必要である。AIの軍事利用を厳しく禁止するルールをつくることは急務である。
(4)一人ひとりの人権と尊厳が尊重される社会へ
《すべての子どもの成長・発達が保障される社会へ--子どもの権利条約を力に》
子どもを権利の主体として尊重せず、過度な競争と管理を押し付ける教育政策によって、子どもたちは強いストレス状態に置かれ、成長と発達が阻害されている。過度な競争・管理・詰め込みの教育をあらため、教職員の長時間労働を解消し、子どもが人間として大切にされ、その全面的な発達を保障する学校をめざす。
党は、「不登校についての提言」(2025年5月)で、「不登校は子どものせいではない」「親のせいでもない」、子どもの心が傷ついた状態であり、「子どもには休む権利がある」とよびかけ、深い共感が寄せられている。子どもも保護者も安心できる支援の充実を求める。子どもと教育、不登校などについて安心して話ができ、語り合い、学び合えるつどいにとりくみ、手をつなぐことを大切にする。
日本国憲法とともに、子どもの権利条約の四つの原則--差別されない、最善の利益、生存と発達、意見を表明し尊重される--を、全ての施策、社会にゆきわたらせるために努力する。
《ジェンダー平等社会の実現へ--女性差別撤廃条約を力に》
ジェンダー平等に逆行する政権に抗し、「女性の休日」のとりくみに全国1万人以上が参加するなど、市民・女性の連帯は大きく広がっている。
2024年10月、国連の女性差別撤廃委員会は日本政府に、6回目となる勧告をおこなった。雇用分野では、間接差別をなくすなど11項目、選択的夫婦別姓の導入は4度目の勧告となった。勧告に先立つ審査では、過去最大規模の団体・個人が参加し、連帯してリポートを提出するなど、国内の運動を推進する力となっている。市民・女性たちと連帯し、女性差別撤廃条約の全面的な実施を求める。
一部改定案は、「性と生殖に関する健康と権利」(セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス&ライツ=SRHR)を保障することを、綱領の課題として明記した。すべての人には性自認・性的指向、子どもを持つか持たないか、妊娠の時期などについて、誰にも強制されず自分で決める権利があり、そのために性や生殖について十分な情報と知識、必要な医療やケアをすべての人に保障する--SRHRは国際的に認められた基本的人権である。包括的性教育、中絶の配偶者同意要件の廃止、安全な避妊・中絶、地域で産める医療体制の充実など、日本のSRHRを国際水準に引き上げるために力を注ぐ。
性を「買う」ことを禁止し、「売る」側を非処罰化して支援対象とし、「売春防止法」は廃止を含めて抜本改正する。人間による人間の搾取をなくし、人間の支配・被支配の関係をなくすことをめざす党として、性的搾取のない社会の実現をめざす。
《差別・排外主義を許さず、すべての人の尊厳が大切にされる社会へ》
難民申請の抑制、強制帰国を強化する法制度が強行され、まともなヒアリングもなく送還を決め、日本で育った子どもが退去させられる、家族が引き離されるという事態が相次いでいる。さらに、高市政権は、永住権の厳格化など、外国人排除と管理の強化を求めている。日本の排外主義は、侵略戦争と植民地支配の無反省と深く結びついている。
党は、差別・排外主義に反対し、多文化共生社会をめざす。政府・政党・政治家が、排外主義を喧伝(けんでん)することをやめるよう求める。この問題を克服するために、暮らしや経済の困難は「外国人のせい」ではなく、新自由主義の経済政策、資本主義の矛盾にこそ、根本的要因があることを、事実にもとづいて国民に知らせ、対話をすすめる。差別・排外主義を許さない市民の運動が、多くの国民に理解される活動形態をもって発展し、連帯の輪が広がるよう党として努力する。
「先住民への差別をなくす」うえで、アイヌ民族の遺骨や副葬品の収集・保管に対して、人類学・考古学の学会や大学が謝罪文を公表し、遺骨の返還が行えるようとりくみが進んでいることは重要である。長年、人権を侵害されてきたアイヌ民族の先住権確立へ、取り組みを強める。
(5)国民との共同をひろげ、社会変革の国民的な運動を
国民の要求運動・たたかいを発展させ、運動団体を強くすることは、国民的な共同と団結=統一戦線によって政治を変えようという、社会変革の展望をもつ日本共産党の重要な任務である。党は、国民運動に参加するさいに、「四つの原則」(①切実な要求の実現、②運動を担う組織の前進・強化、③結びつきを生かした党勢拡大、④市民的モラルを大切にする)を貫く。
《新しい市民運動に連帯し、さらに発展するよう党として力をつくす》
「戦争反対」「憲法守れ」を土台に、高市政権そのものに抗議し、一人ひとりの市民が自主的・自覚的にデモ・アピールをおこなう新しい運動が広がっている。党は、この運動に連帯するとともに、参加する市民とつながり、政治を変える展望をともに学び、語り合い、持続的に運動の発展がはかられるよう努力する。
《労働運動の発展のために--労働組合の分野ごとの探求と協力をすすめる》
約6000万人の労働者の多数が、自覚的に労働組合に結集してたたかってこそ、社会変革の事業が前にすすむ。
この間、日本共産党は、建設、教育、自治体、ケア労働など、分野ごとの「集い」にとりくむなかで、それぞれの労働組合の特徴や歴史、それぞれの現場の実情をふまえて、労働運動の発展を労働者とともに探求するとりくみをすすめてきた。このとりくみをあらゆる分野に発展させ、民間大経営などにも広げていく。
労働者階級としての自覚と成長は、労働組合運動を発展させるうえで不可欠である。「赤本」「青本」「緑本」の学習を、労働者とともにすすめ、労働者のなかに『資本論』を読むムーブメントを起こすことに挑戦しよう。
《緊急の要求での一致点にもとづく共同とともに、「三つの共同目標」での統一戦線を》
大軍拡や憲法9条改憲反対をはじめ、緊急の要求での一致点にもとづく共同は、平和・暮らし・人権での逆行をとめ、新しい政治をつくる力である。
同時に、自民党政治のゆきづまりは限界点に達しており、政治革新への統一戦線を国民のなかに広げることがいま強く求められている。党は、革新懇運動と共同して、「三つの共同目標」--①日本の経済を国民本位に転換し、暮らしが豊かになる日本をめざす、②日本国憲法を生かし、自由と人権、民主主義が発展する日本をめざす。③日米安保条約をなくし、非核・非同盟・中立の日本をめざす--を国民のなかに広げ、国民多数を結集する独自の努力に力を注ぐ。
第4章 国政選挙・統一地方選挙での反転攻勢を果たそう
(1)第30回党大会期の一大任務として国政選挙での反転攻勢を
第29回党大会期、わが党は3回の国政選挙で悔しい後退をきっした。その一つひとつについて真剣な総括をおこない、党活動と選挙活動の刷新をはかるとともに、何より党づくりの遅れを克服するために努力してきた。
同時に、この間の一連の選挙では、自民党政治が危機に陥るもとで、補完勢力や極右・排外主義の政党が、国民の怒りや不満の「受け皿」となる複雑な情勢も展開した。26年2月の総選挙では、高市首相がクーデター的な解散・総選挙に打ってでるもとで、「変えてくれそう」という「受け皿」となった。
しかし、暮らしへの無関心、大軍拡と大企業へのバラマキ、国旗損壊処罰法や皇室典範改悪の強行などによって、高市政権への期待はしぼみはじめている。自民党政治と国民の矛盾が激化し、高市政権そのものに反対する市民の行動や、保守的立場の人々からの批判が広がるもとで、自民党政治と対決軸を持たない政党が、その存在意義を失う状況が生まれている。
こうした新しい政党配置によって、高市政権に正面から立ち向かい、希望ある対案を掲げる日本共産党の値打ちが見えやすくなり、輝く情勢が生まれている。打って出るならば、党が前進できるチャンスの情勢が目の前に広がっている。これは、全党が、不屈に、団結して、国民の利益に立って奮闘してきたからこそ生まれている情勢の変化である。国民の要求を掲げ、日本共産党の姿を堂々と示し、第30回党大会期の一大任務として、国政選挙での反転攻勢を必ずやりとげよう。
(2)国政選挙にのぞむ方針--衆議院比例ブロックでの得票(率)目標を「軸」に
反転攻勢を果たすうえで最も重要な選挙が、衆議院選挙の比例代表選挙である。「比例450万票、得票率7・5%以上」の達成へ、衆院比例ブロックごとの得票目標と議席の目標を、都道府県・地区委員会、支部まで徹底し、その実現のための日常的な活動を党活動全体の「軸」にすえる。比例ブロックごとに議席獲得に必要な得票率を明確にし、日常的に支持を積み重ねていく。
小選挙区では、沖縄1区の議席奪還とさらなる議席増をめざす。比例を軸として「各都道府県で1選挙区以上」の候補者擁立をすすめ、「小選挙区でも勝利する戦略的目標をもち、日常的・系統的に活動する候補者を擁立する選挙区」を重点的に設定して奮闘する。
2028年参院選では、比例代表で現有3議席を絶対守り、議席増をめざす。東京選挙区の現有議席を絶対確保し、過去に獲得していた選挙区での議席奪還に挑戦する。
日本共産党の国政選挙での躍進こそ、自民党政治への最も厳しい審判となり、新しい政治への展望をひらく力となる。新たな統一戦線を構築するうえでも、わが党の躍進が最大の力となることを訴えぬき、必ず反転攻勢を果たす。
(3)統一地方選挙、中間選挙の勝利をめざして
統一地方選挙は、地方政治をめぐる二つの流れの対決--弱肉強食の新自由主義による公的責任・住民サービスの縮小・後退、国の悪政の「出先機関」化を許すのか、それとも住民の要求を実現し、自治体本来の役割=公共をとりもどし、国政を前に動かす流れをつくるのかが問われる選挙となる。
大阪では、維新の会が「副首都」を口実に統一地方選挙と同日で、市民が2度否決した、大阪市を廃止・分割する都構想の住民投票をたくらんでいる。これを許さないことも重要なたたかいとなる。
わが党の前進・躍進は、①住民の福祉の増進という自治体本来の役割を果たさせ、「公共をとりもどす」一番の力となる、②暴走する高市政権にノーの審判を下し、地方から新しい国民的共同をつくる、③党の自力の中核である地方議員の前進で国政選挙での反転攻勢の突破口を開く--という重要な意義をもつ。
道府県議会選挙では、5県(新潟、福井、静岡、福岡、熊本)の県議空白を克服し、新たな空白を絶対につくらず現有議席を絶対確保するとともに、前回失った議席回復、新たな議席に挑戦する。政令市議の現有議席の絶対確保と空白区の克服をめざす。後半戦でも現有議席の絶対確保と議席増をかちとる。改定綱領と党大会決定を力に、必ず勝利をつかもう。
東京・清瀬市、大阪・忠岡町など、新たな共産党員首長の誕生は、「公共をとりもどす」「市民参加の地方政治」への希望を広げている。「オール与党」体制が住民の願いに背を向けているもとで、首長選挙では市民との共同の流れをつくり、新たな前進に力をつくそう。
地方議員がその役割を果たし、生き生きと活動し、党員として成長することを保障するために、地方議員団を確立し、日常的な政治討議・学習とともに、改定綱領、科学的社会主義、党規約と党建設、党史の4課目の学習に系統的にとりくみ、政治的・理論的確信を培おう。中央と地方党機関が協力し、地方議員の成長を援助する。
(4)選挙活動--二つの大改革にとりくもう
第29回党大会決定は「三つの突破点」(①全有権者規模の大量宣伝、②訪問対話・担い手づくり、③「SNSに強い党」)での新しいたたかいをよびかけ、全国でさまざまな努力と奮闘がおこなわれた。これを踏まえ、「三つの突破点」を発展させ、全有権者規模の大量宣伝と後援会活動をさらに強める。
全有権者規模の大量宣伝で、党の勢いを示そう。「声の宣伝」では、支部のハンドマイク、宣伝カー、マイ宣伝カー(自転車を含む)にとりくもう。ポスターは、訪問対話での新規開拓、街頭宣伝や演説会でのポスター手渡し作戦など、まずは、全国50万規模で張り出そう。
後援会ニュースを届けることを中心に、現在270万の後援会員を擁していることは、選挙活動の担い手を広げ、「国民とともにたたかう選挙戦」にしていく重要な土台となる。支部に対応する単位後援会、分野別後援会の活動の日常化をはかり、人間的信頼関係、協力関係を強化しよう。得票目標に相当する後援会をつくろう。
JCPサポーターの登録者を広げ、大量宣伝への協力をよびかけよう。JCPサポーターのホームページを活用し、都道府県・地域の活動での協力関係を強めるとともに、マンスリー寄付を広げ、サポーターとともにたたかう選挙の新時代を開こう。
そのうえで、選挙活動の次の二つの大改革をよびかける。
《第一の大改革--「対話型・循環型」の新しい選挙活動にとことんとりくもう》
2024年総選挙の総括から、「要求対話・要求アンケート」が戦略的大方針として開始された。とりくんだ支部では「対話が楽しい」と確信になり、「ストリート対話」「訪問対話」「赤テント」など多彩なとりくみが始まっている。全国の経験に学び、次の5点で活動を発展させ、「対話型・循環型」の新しい選挙活動、楽しい選挙活動にとことんとりくもう。
①相手の願いを聞くことからはじめる--国民のありのままの声を聞くことは、さまざまな情勢のもとでの国民の意識の変化、生きた要求をつかむ最初の一歩である。つかんだ声を党の政策や訴えに反映させ、新鮮にバージョンアップすることもできる。また国民の声を真剣に聞く日本共産党の姿が伝わり、党への新たな信頼も寄せられている。あらゆる活動で「聞く」姿勢を大切にしよう。
②ともに考える姿勢で対話する--党の政策や考えを一方的に押し付けるのではなく、情報を提供してともに考える姿勢に徹する。異なる意見があって当然、歓迎という気持ちでとりくもう。要求や意見に合わせて、党の政策を情報提供し、対話を楽しもう。対話の後、「しんぶん赤旗」見本紙や、チラシ、ホームページやSNSの二次元コードを渡して、党の政策に触れてもらえる機会をつくろう。
③願いは一緒に実現する--解決に向けて話し合い一緒に運動にとりくもう。対話の中で出された要求を党だけで解決せず、一緒に要求運動にとりくむ。要求こそ、主権者としての成長の力である。ともに知恵を出し合って、楽しい要求運動へと発展させよう。
④ノッキング(軒並み訪問)、ストリート対話、テーブル作戦を組み合わせる--戸建てや団地での「軒並み訪問」、オートロックマンションの多い地域ではストリート対話、公園やスーパー前でのシールアンケート、駅前広場でのテーブル作戦など、多様な形を組み合わせてとりくもう。
⑤「出かけていく」だけでなく「来てもらう」--お祭り、ライブ、展示会、関心に応える「集い」など楽しいイベント、相手が「参加したくなる」企画でつながろう。
中央として、「フェスタ・赤旗」(仮称)を開催する。党と後援会、サポーター、ボランティアが支えあい、力量に見合った適切な規模で、定期的に開催していく。
《第二の大改革--SNSでは、わが党ならではの活用を抜本的に強める》
いまSNSは、利益を得る手段となり、注意をひきさえすればいいという「アテンション・エコノミー」によって、刺激の強い発信ほど拡散され、デマや誹謗(ひぼう)中傷に世論が左右される危険な事態が生じている。支配勢力は、莫大(ばくだい)な資金を用いてSNSを活用し、社会変革をめざす勢力をおさえこもうと策動している。
一方、「デモ・カレンダー」やSNSでの呼びかけで、ペンライト集会やスタンディングへの参加が広がる新たな流れもつくられている。ストリート対話の動画に、「安心して政治のことが話せる」という共感も広がっている。SNSを、攻撃や誹謗中傷の手段ではなく、社会進歩をめざす人々の連帯をつくるツールとして活用し、次の方向で全党のとりくみを抜本的に強めよう。
--伝わる言葉・コンテンツを開拓する。マルクスや『資本論』への関心も高い。わが党ならではの面白くてためになる発信、政策・理念・活動、不屈の情熱などが初めて触れる人にも伝わる発信に挑戦する。
--情勢の変化や攻撃への即応力と理論的力をつける。発信のタイミングはSNSの影響力を大きく左右する。攻撃に適切・的確に対応していく。その際、個人の生命や人格を否定したり、プライバシーを侵害する発信、差別的言動や誹謗中傷は厳に慎む。
--SNSとリアルの結合力で勝負する。「要求アンケート」「ストリート対話」などをSNSでも発信し、活動への協力もよびかけて、SNSでの接点を地域・職場・学園での活動につなげていく。
--発信量・拡散量を増やす。党員・後援会員の規模からみても、動画視聴数・拡散数ともあまりに少ない。党公式、国会議員、地方議員、候補者の発信とともに、個人アカウントでの発信・拡散量を圧倒的に増やす。全党がSNSを駆使できるようになるとともに、JCPサポーターとSNSの発信・拡散での協力関係を強める。
この大改革のカナメとなる中央委員会のSNSの抜本的な体制強化をはかる。
第5章 改定綱領(案)を力に世代的継承を軸とした党建設を全党の力で躍進させよう
(1)党大会を党勢の前進で迎えるために、すべての支部と党員が参加する運動に
前大会以降、わが党は、理論的にも組織的にも、つよく大きな党をつくろうと、党建設での努力と奮闘を一貫しておこなってきた。
全党の努力によって、第29回党大会後の2年8カ月で、1万134人の新入党員を迎えることができた。新しく党の一員となった同志のみなさんに、心からの歓迎のあいさつをおくる。
全党は、第30回党大会を、第29回党大会時の党勢力を上回って迎えようと奮闘のさなかにある。現状は、党員現勢で1万9千人を前進させ、「しんぶん赤旗」読者は、日刊紙1万6千人、日曜版8万6千人を前進させることができれば、この大会期を、党勢の後退から前進への転換を実現した大会期にすることができる。
第8回中央委員会の「手紙」に対して「返事」を寄せていただいた支部・グループは57%まで広がっている。党大会に向けて、この運動を文字通り100%の支部・グループの運動に発展させ、すべての支部と党員が参加する党勢拡大運動を作り出し、党勢を後退から前進に転じるという大仕事をやりとげて第30回党大会を迎えることができるよう、最後までの全党の同志のみなさんの奮闘を心から訴える。
第30回党大会期の党建設・党勢拡大の目標は、大会までの大運動の結果を踏まえて、大会での中央委員会報告で提案するものとする。
(2)日本共産党の党建設の歴史的発展段階をどうとらえるか
日本共産党の党建設の歴史的発展段階をどうとらえるか。たしかに、いまわが党は、党建設上の大きな困難に直面している。なかでも私たちの事業を若い世代と労働者に継承していく世代的継承は、党にとっての死活的課題となっている。その大局的な展望をどこに見いだすか。党の104年の歴史を踏まえた理論的到達、政治的到達、そして組織的到達の三つの角度から現状と展望をつかみたい。
《理論的到達--世界で先駆的な位置》
理論的到達という点では、わが党の到達点は、世界で先駆的な位置にあるといっても過言ではない。それは、綱領一部改定案に鮮明にしめされている。『資本論』を導きに、「人間の自由」「自由な時間」を軸とするマルクスの未来社会論を改定綱領(案)に明記している点で、今日の世界のなかでも日本共産党の立場はきわだったものである。21世紀の世界論、多数者革命と社会の段階的発展論などでも、党綱領の先駆的立場は抜きんでたものである。そのすべてが旧ソ連流の「マルクス・レーニン主義」を名乗ったマルクスの理論の歪曲(わいきょく)の清算のうえに築かれたものであり、その土台となっているのは、先人たちのソ連覇権主義の干渉との「政党の生存権をかけたたたかい」と、これによって打ち立てた自主独立の確固とした立場がある。
社会発展の法則をとらえた理論なしに党をつくることはできない。いま、全党は、改定綱領(案)という、党建設をすすめるうえでまったく新しい条件を手にしている。わが党の理論的な到達点は、それを分かりやすい言葉で伝えるならば、必ず若い世代と労働者の心に響くものとなる。ここに深い確信をもって進もう。
《政治的到達--国会勢力は重大な到達だが、政治的影響力では大きな存在感》
政治的到達という点では、わが党は、現在の瞬間の国会勢力で見れば、衆議院・参議院ともに議席が1けた台という重大な到達にある。しかし、国民のなかでの政治的影響力という点では、大きな政治的存在感をもっている。
「しんぶん赤旗」がもつ政治的・社会的影響力の大きさは、多くの巨大メディアが権力の監視役としての本来の役割を果たしているとはいえない状況のもとで、わが国の言論と民主主義を支える、かけがえのない国民的意義をもつものである。
地方議会で、日本共産党は、2100人を超える議員を擁し、自民党、公明党につぐ第3党の地位をしめ、地方議員のみなさんが住民の利益を守って日夜活動していることは、わが党の大きな誇りである。「しんぶん赤旗」の読者、地方議員ともに、後退から前進に転ずるという大きな課題があるが、現在、国民のために果たしている存在と役割に深い確信をもって、前進に転じよう。
《組織的到達--多くの困難はあるが、草の根で国民と結びついた党の力に確信を》
組織的到達は、わが党の活動のなかでも、最も遅れた分野となっている。党は年齢構成という点でも、後退傾向が続いてきたという点でも、組織的に多くの困難を抱えていることは、全党のみなさんが痛感されていることだと思う。
しかし、現在、わが党は、全国で23万人をこえる党員を擁し、1万6千の党支部をもち、党員と支部のみなさんは、草の根で国民と結びつき、国民の苦難軽減という立党の精神にたって奮闘している。長年党を支えてきたベテランの党員が、その知恵と経験を生かして活動していることはわが党の強みであり宝である。若い世代、真ん中世代の党員が新鮮で創造的な力を発揮していることは、わが党の希望である。わが党は、財政面でも、企業・団体献金も政党助成金も受け取らず、国民にのみ支えられた自前の財政を維持しているからこそ、あらゆるしがらみがなく、国民のために頑張ることができる。草の根で自前の組織をもち、それを維持し、国民のために献身している党は、わが党のほかには存在しない。たくさんの打開すべき困難はあるが、先人たちの努力も含め、これまで営々とつくり、維持してきたこれらの到達点を過小評価すべきではない。
世界で先駆的な位置にある理論的到達、国民のなかでの政治的影響力を生かし、現に頑張っている党員と支部の力に自信をもち、改定綱領(案)を生かして奮闘すれば、必ずつよく大きな党をつくることはできる。
改定綱領(案)を全党員が学び、国民の中に語り広げ、全支部が党勢拡大にたちあがり、党づくりの歴史的躍進をかちとろうではないか。
(3)綱領で党をつくる--改定綱領(案)の学習・対話・党勢拡大の大運動にとりくもう
第30回党大会期の一大プロジェクトとして、全党が改定綱領(案)の学習・対話・党勢拡大の大運動にとりくむことを心からよびかける。
《全党員が学習し、知的魅力、大局的展望をもって頑張りぬく党に成長しよう》
改定綱領(案)を全党員が学び、「知的魅力、政治的明るさと、理論的活力がみなぎる党」「情勢の紆余(うよ)曲折や支配勢力の攻撃にたじろがず、大局的展望を持って頑張りぬく党」になることを、党の質的建設の第一義的課題にすえる。
都道府県・地区が綱領講座を開こう。支部は読み合わせての綱領学習をすすめよう。「赤本」「青本」「緑本」を綱領の副読本として位置づけ、引き続き学習運動にとりくもう。
《綱領で対話と「集い」にとりくみ、日本と世界の進路を語り広げよう》
「世界をどうとらえるのか」「政治を変えることはできるのか」「資本主義のシステムをこのまま続けてよいのか」、気候危機、AI、ジェンダー平等、ケア労働など、多くの国民がもっている関心、疑問、要求を入り口に、改定綱領(案)で、対話と「集い」にとりくもう。「要求対話」「ストリート対話」での「綱領対話」に挑戦しよう。
《綱領で入党を働きかけ、新たな党員を迎える党員拡大運動を起こそう》
“綱領を渡して読んでもらう”“「集い」や入党懇談会で綱領を語って働きかける”という、綱領と規約にもとづく入党の働きかけで党員拡大の大運動を起こそう。「改定綱領(案)パンフ」を使って、すべての支部と党員が、入党の働きかけに踏み出そう。入党の働きかけの日常化をはかろう。
《新入党員の活動参加を援助し、みんなが成長できる党になろう》
党に迎えた新入党員の成長と支部活動への結集を十分にはかりきれていない弱点を、改定綱領(案)を力にして克服しよう。新入党員教育を必ずおこなうとともに、支部での歓迎会などをもち温かく迎えよう。党機関が、新入党員一人ひとりの成長と活動参加についての実情をつかみ援助しよう。
(4)民主的な議論と行動の統一--組織原則の生命力に確信をもって
第29回党大会決定で「多数者革命と日本共産党の役割」、「民主集中制を堅持し、発展させる」意義を明らかにしたことは、党づくりの指針として生きた力を発揮してきた。
民主的な議論を通じて方針を決定し、決定したことはみんなで実行する--規約にもとづき、党内民主主義と行動の統一(民主集中制)を大事にしているからこそ、わが党は、情勢の波乱や複雑さ、さまざまな困難にぶつかっても、党の統一と団結を守り、国民の利益にたってたたかいぬくことができる。
この組織原則をしっかり守ってこそ、実践から教訓を引き出し、党の英知を結集して方針を発展させることができる。そのことは、8中総の「手紙」と「返事」のとりくみで、党機関の活動の改革、中央委員会の応答と自己改革が始まるなど、「双方向・循環型」の活動の発展にも示されている。
党の団結と、一人ひとりの党員の力を生かすうえで、ジェンダー平等とハラスメント根絶への真剣な努力がいっそう求められる。だれもが互いに対等・平等な仲間として尊重しあう同志的連帯をきずくとともに、党員として成長するために、不断に学び、率直な自己・相互批判ができる党に成長しよう。
(5)改定綱領(案)を生かし、世代的継承に全党の力を注ごう
青年・学生、労働者、30代~50代の真ん中世代の中に党をつくるために、すべての支部・グループ、党機関が協力して、この世代に働きかけることに思い切って力を注ぎ、新たな時代を担う党へと発展していくことが、党の重要な課題となっている。
《全党がとりくむ世代的継承(1)--「二つのチャレンジ」をさらに発展させよう》
前大会以降、努力を重ねてきた、「全党がとりくむ世代的継承の活動」への開拓的挑戦を、さらに発展させよう。
第一は、「要求対話・要求アンケート」と「赤本」「青本」「緑本」の学習・対話運動--「二つのチャレンジ」を、全地区・全支部の運動へと発展させることである。
「要求対話・要求アンケート」「ストリート対話」で青年・学生、労働者と結びつき、「赤本」「青本」の読書会・学習会への参加をよびかける--「二つのチャレンジ」をセットでとりくむことが、世代的継承を軸とした党員拡大の法則的な発展方向となっている。
「要求対話・要求アンケート」の活動を、選挙勝利とともに世代的継承への「戦略的大方針」に位置づけ、すべての支部・党組織がとりくもう。
「赤本」「青本」「緑本」、そして『資本論』の学習は、日本共産党を支持しているかどうかに関係なく参加できる、ハードルの低い活動である。この学習を支部の中心任務に位置づけ、とくに、党外の人々、若い世代や労働者と一緒に学ぶ読書会、学習会にとりくもう。大学でも大いにとりくもう。読書会の日時・場所を告知する「赤本カレンダー」を活用しよう。
《全党がとりくむ世代的継承(2)--「集い」開催と、「つながり名簿」づくり》
第二に、改定綱領(案)を生かして若い世代・労働者の「集い」「ミーティング」の開催と「つながり名簿」づくりをすすめ、入党の働きかけをすすめることである。
前大会以降、青年・学生、労働者、真ん中世代が企画の主人公となって、創意ある楽しい「集い」の開催が広がるとともに、このとりくみを節に、党機関と支部が50代以下の「つながり名簿」をつくり、系統的に働きかけをおこない、若い世代とベテラン党員の力が合流して、世代的継承の大きな推進力となっている。
これらの活動を、改定綱領(案)を生かした活動へとさらに発展させ、全党の力で世代的継承をすすめよう。
《全党がとりくむ世代的継承(3)--職場・労働者のなかでの党づくり》
第三は、職場・労働者のなかでの党づくりである。
前大会以降、建設、教職員、自治体、医療・福祉、保育、民間など各分野の労働者の実態と要求、職場の矛盾と労働者のたたかいの特徴を党として分析し、科学的社会主義の見地から労働組合の役割と今日における労働運動の階級的・民主的強化の方向を明らかにしたことは、職場・労働者の党づくりで後退から前進に転じる重要な足掛かりをつくりだしている。
この成果を本格的に党づくりの力にしていくのは、これからの課題である。労働運動の強化と一体に、全党あげて職場・労働者の中での党づくりにとりくもう。
①三つの法則的活動で職場支部の抜本的強化を
職場支部の「返事」には、さまざまな困難とともに、職場の矛盾と厳しい労働条件のなかで、労働者との人間的信頼関係を築き、職場の党の灯を守り前進させようと奮闘する不屈の努力がつづられている。
前進している職場支部の教訓は、①「党機関と支部が協力し、労働者の分野ごとの『集い』を開いて働きかける」、②「労働組合運動の階級的・民主的強化、未組織労働者の組織化と一体に党づくりをすすめる」、③「『赤本』『青本』の学習・対話運動にとりくむ」という、三つの法則的活動をすすめていることにある。とりわけ、分野別の「集い」と「赤本」「青本」が、職場支部のかけがえのない存在意義、労働者党員としての誇りと生きがいを呼び起こすとともに、党勢拡大への活力と踏み切りを深いところから励ましていることは重要である。
これらの教訓に学び、職場支部の活動の抜本的強化、現役労働者への系統的な働きかけをすすめよう。
党機関と地域支部が、迎えた労働者党員の学習を援助し、労働者党員が労働組合に入ってたたかいを発展させ、新たな職場支部の結成を目標にとりくみをすすめよう。
中央委員会として、適切な時期に「職場問題学習・交流講座」を開催する。
②退職党員の転籍--党全体としてつよく大きな党をつくるカナメのとりくみとして
職場支部の退職党員が転籍し、新たな活動につくことを、党全体としてつよく大きな党をつくるうえでのカナメのとりくみの一つとして位置づけて推進する。
退職党員のみなさんに心からよびかける。転籍は、党員としての人生の大きな岐路であり、戸惑いや不安が伴うものではあるが、多数者革命を推進する日本共産党員としての生き方を貫くために、新しい一歩を踏み出そう。職場で不屈にたたかいぬいてきたあなたの経験と力を、新しい場所で発揮していただくことを、重ねて心から訴える。
職場・労働者の中での党づくりの経験は地域支部のなかで発揮することができる。この間の労働者の入党の3分の2は地域支部での入党である。転籍を、「労働者の中での党づくりの新たな一歩」と位置づけ、地域支部で労働者党員を増やし、労働運動を発展させるうえでも、職場で鍛えられたあなたの力を発揮していただくことを訴える。
《全党がとりくむ世代的継承(4)--1万人の青年・学生党員、数万の民青を》
第四は、学ぶとりくみを抜本的に強め、1万人の青年・学生党員、数万の民青をつくることである。いま、「青年・学生のなかで大きな党と民青同盟をつくる歴史的チャンス」(第28回党大会8中総「特別決議」)であることが、いよいよ鮮明になっている。
平和・憲法のたたかい、「要求対話」「ストリート対話」、「高校生セミナー」、「赤本」「青本」読書会など、青年・学生と“出会う”“つながる”“働きかける”活動に打って出たところでは、困難があった党組織でも3人、5人、10人と青年・学生を党に迎えている。青年・学生の党づくりを、機関会議で不断に討議・具体化している党機関で前進をしていることが大切な教訓である。
アメリカでのマルクス研究者との理論交流で、米国で「第4のマルクス・ブーム」が起こっていることが話題になり、とくに今の20代、30代の若者たちが、「旧ソ連時代の悪い影響を受けていない」ことが指摘された。これは、日本でも同じである。日本の若者もまた、現在の資本主義の諸矛盾を最も敏感に感じ取り、社会主義にたいする偏見や誤解もかつてより少ない。
学ぶとりくみを抜本的に強め、2028年末をめざす「5カ年計画」を推進し、改定綱領(案)を力にして、1万人の青年・学生党員、数万の民青を実現しよう。
①「生きた目標」をつくり、学生、青年が主人公の支部活動と党員拡大を
「手紙」と「返事」のとりくみを通じて、学生支部、青年支部が「生きた目標」をつくり、学生、青年が主人公となった支部活動と党員拡大がすすめられていることは、前大会以降の前向きの変化である。
学生支部は、「三つの任務」--①学習を最優先の課題として重視し、社会の各分野の担い手として成長する、②学生の切実な要求実現、知的関心にこたえる活動にとりくみ、学生のなかに党をつくる、③民青の活動の前進と組織の発展の先頭に立つ--にもとづいて、改定綱領(案)や科学的社会主義の学習、学生の要求・関心にこたえる活動にとりくみ、学園ごとの民青班建設、党支部建設の目標をもって党づくりにとりくもう。学習によって民主主義的未来、社会主義的未来の担い手として成長することこそが、学生党員の最大で最優先の任務であることを強調したい。
青年支部に所属する党員を、原則30歳までとし、職場支部や地域支部に転籍する努力がおこなわれたことは、青年支部の活動確立の力になっている。青年党員が要求実現のたたかいや選挙、民青班の活動の先頭に立つとともに、職場・地域で党をつくる担い手に成長することを重視しよう。
②民青の基本的性格を輝かせ、班を基礎にした活動の援助を
民青同盟が、街頭対話、若者憲法集会、「赤本」「青本」学習などを通じ、組織的前進をはかってきたことは希望である。青年の要求実現に力をつくすとともに、党綱領と科学的社会主義を学び成長することを基本的性格とする民青同盟にとって、改定綱領(案)は、青年のなかで一段とその魅力と役割を輝かせ前進する、新たな条件となる。学習の援助は、党の民青に対する援助において、最大で最優先の課題にしなければならない。
民青同盟は、班を基礎にした活動の強化と機関体制の確立が大きな課題となっている。党として、すべての地区委員会が、民青の班の建設と班活動確立への援助をおこなおう。すべての都道府県委員会が、民青の都道府県委員会体制の確立に責任をもち、学習と実践を通じたリーダーづくりを民青と共同してすすめよう。
(6)みんなが楽しく参加する支部活動の確立をめざして
みんなが楽しく生き生きと参加できる支部をどうつくるか、「返事」で切実な悩みが寄せられた。同時に、「返事」には、「何か一つからでも」と支部会議の頻度を高めたり、「赤本」学習を始めたことで、支部会議が楽しく、集まりも良くなり、新たな活動への意欲がわいてくるなどの変化がつづられている。全国の経験に学び、三つの方向で努力を重ねよう。
--「政策と計画」をもった活動、週1回を基本にした支部会議の開催、学習と支部の連絡・連帯網の構築など、党規約第40条にもとづく原則的な支部活動の確立をめざして、何か一つからでも努力を開始し、継続することに力を注ぐ。LINEの活用やオンライン会議の開催など、党員の結集を強める新たな方式も積極的に位置づけよう。「党生活確立の3原則」(①支部会議に参加する②日刊紙を購読する③党費を納める)にもとづく党生活を支部で支えあおう。
--党員を増やして、支部活動を前進させる。困難を抱えた支部でも、新しい党員を迎え、新入党員教育を支部でおこない、支部会議を学ぶ喜びにあふれ、疑問や意見を安心して出し合える場にするとともに、新入党員の得手や条件を生かした活動をすすめたことで、支部全体が生まれ変わった経験が報告されている。
--「支部会議を開けない」「活動が具体化できない」など困難が深刻化している支部には、党機関が足を運び、支部員一人ひとりと連絡をとることから始めるなど具体的援助が不可欠となる。支部委員会を構成し、集団的に支部活動を支えあえるよう、支部の合理的再編も検討が必要となる。支部指導部をつくり、支部活動と党勢拡大を攻勢的にとりくめるようにして、支部の再建や新たな支部の結成にむかう展望をひらこう。
(7)「しんぶん赤旗」中心の党活動の発展方向
「しんぶん赤旗」中心の党活動は、一方では「赤旗」の発行の危機が切迫し、配達・集金活動の困難も増大しているが、他方では、日曜版電子版が発刊から半年で1万人を超えるなど新たな前進の可能性も生まれている。危機を打開し、新たな可能性をくみつくし、「しんぶん赤旗」中心の党活動の抜本的強化をはかることをよびかける。
《読者拡大--紙を中心にしつつ電子版とあわせて前進を》
紙の「しんぶん赤旗」は、知らないニュースも目に入り、ニュース価値も一目でわかるという紙の新聞ならではの特徴をもっており、政治の真実と希望を指し示し、要求活動や選挙で読者との協力・共同を広げ、地域で党と国民とを結ぶ絆として重要な役割を果たしている。紙だから読めている多くの読者がいる。紙の「赤旗」の事業、とりわけ、その土台となる日刊紙発行の事業を守るために全党が力をつくそう。中央として、紙の「赤旗」を守るために、日刊紙の紙と電子版の併読割引を早期に実現する。
同時に、「赤旗」電子版の若い世代、労働者との新たな結びつきを広げる役割は、一段と大きくなっている。電子版読者システムの開発で、地区・支部が読者と結びつく条件も拡大した。
紙を中心にしつつ、電子版とあわせて読者拡大を前進させ、それぞれ読者との結びつきを維持・発展させる活動を重視して、「しんぶん赤旗」中心の党活動を前進させよう。
《配達・集金--読者網を守り、つながりを維持・強化するためにあらゆる方法を》
配達・集金活動の困難をどう打開するかは、全国の支部からの「返事」でも、最も多くの悩みが寄せられたことだった。
その打開のためには、何よりも支部で率直に現状を共有し、担い手を増やすために力をつくすことがやはり基本である。配達・集金活動のねばりづよい努力は、社会変革を根本から準備する尊い活動である。条件のあるすべての党員のみなさんに、配達・集金活動への参加を心からよびかける。
同時に、日刊紙については、車の免許返納などで配達が不可能になった場合、最大限読者網を守り、読者とのつながりを維持・強化するため、あらゆる方法を積極的に追求することとする。
第一に、朝7時までの配達を原則としつつ、読者の同意を得て配達時間を柔軟に対応できるようにする。その際、紙と電子版の併読割引を活用していく。
第二に、新聞販売店への業者委託を活用する。この場合も、集金をつうじての結びつきと信頼関係を強化し、訪問対話、アンケートで要望を聞くなどして最大限読者との結びつきを守ろう。
第三に、電子版の活用である。地区電子版読者システムへの登録で、支部での集金、連絡ができる形を追求し、読者との結びつきを維持しよう。
(8)党機関の活動改善と体制強化、中央委員会の自己改革
《党機関の活動改善と体制強化》
党機関の体制と活動強化は喫緊の課題となっている。中央委員会の自己改革と一体に、中間機関の活動改善と体制強化にとりくもう。
第一に、支部への指導・援助に思い切って力を注げるようにする改革である。支部の「返事」を党機関でよく読み、「返事」を生かして、機関会議や支部長会議の改革をおこない、「双方向・循環型」で支部への援助に力を注いでいる地区では、新しい前進が開始されている。
第二に、系統的な幹部育成である。理論学習と政治討議を最優先課題とし、機関役員の政治指導の力を高め、新しい役員、若い役員が新鮮な力を発揮しはじめた地区が生まれている。若い幹部、女性幹部の比率をさらに高める努力をつくそう。
第三に、党機関財政を確立することである。党勢の後退が財政基盤を弱め、さらに機関体制が弱化するという悪循環を止め、世代的継承の先頭にたつ若い幹部を党機関に配置するためにも、党機関の活動を全党の力で支えて、専従者の給与、休暇などの活動条件の改善、そのための機関財政の確立をはかることを心から訴える。党員拡大を根幹とした党づくりの前進と一体に、「党費のしおり」を活用し、「財政活動の4原則」(党費、機関紙誌収入、募金、節約)にもとづく財政強化をはかろう。
《中央委員会の自己改革にとりくむ》
「手紙」の「返事」で寄せられた要望、中間機関の現状と課題をふまえ、中央委員会の活動の自己改革に、惰性を排してとりくんでいく。
中央委員会の第一の任務として、理論活動・政策活動の強化をはかる。中央委員会の最大の任務は、科学的社会主義と綱領路線にもとづく理論的探究を強めるとともに、国内外の新しい政治・政策課題や理論問題で先駆的解明をおこない、党の科学的先見性を発揮した提起をおこなっていくことにある。その努力を土台にしてこそ、党の組織活動の発展のためのイニシアチブを発揮することができる。そのためには中央委員会の常任幹部会、幹部会、書記局、「しんぶん赤旗」編集委員会、中央の各専門部自身が、綱領路線と科学的社会主義を学び、理論に強くならなければならない。
今大会期、24年9月に「全国地区役員講座」、26年4月から「今後の地区委員会を担う幹部のための連続講座」を開催し、「若い役員に、党をつくる自覚、自分たちの世代が次の党を支えていく自覚が芽生えた」などの変化が報告されている。中央として中間機関の幹部育成のためのオンライン講座を継続的に開催する。
8中総の「手紙」の「返事」のとりくみでは、三つの自己改革の方向--「支部の悩みと実態に心をよせ、大志ある目標をかかげながら、『できること』を一つひとつ実現していくことを援助する活動」「短期の視野だけでなく、中長期の視野をもち、支部のリズムを大切にし、のびのびと支部の力をのばせるようにする活動」「『進んだ経験』の紹介だけでなく、『困難な実態をどう変えたか』に焦点をあてて、教訓を全党のものにしていくイニシアチブ」がいよいよ重要となっていることを、中央委員会としてしっかりと受け止めた。改革のための不断の努力を強める。そのさい、地区委員会が、支部への具体的援助に思い切って力を注げるよう、月々の方針提起や報告制度、会議の頻度などを見直し、中央の活動を改革していくことも重視していく。


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