日本共産党柏原市会議員 橋本みつおのブログです。

日本共産党の経済再生プラン

以前に下書きしていた分。

6日(日)は、国際協力の日。

しんぶん赤旗の配達。

風が吹き、少し寒かった。

午前中は、現役世代の学習会の案内をしました。

12時からは、第34回柏原市民文化祭の式典に出席。

急いで戻り、大県事務所へ。

私の車に8人で八尾市へ。

大阪14区決起集会が行われました。

駒井大阪府委員長の力強い情勢報告。

各行政区(柏原は江村議員・八尾は、田中議員・羽曳野は、渡辺議員・藤井寺は、市委員長・木下議員は市会)が行われました。

内藤こういち候補も対話を大事にしていきたいと力説。

たつみコーターロー比例候補もさすがの演説でした。

橋本みつおは、最後に出番がありました。

「団結 がんばろー」をしました。

会場がいっぱいになってよかったです。

写真は、インスタグラム・フェイスブック・Xに投稿しました。

20時からは、大阪14区SNS対策会議

日本共産党の経済再生プラン

30年におよぶ経済停滞・暮らしの困難に、物価高騰が襲いかかっている

物価高騰に暮らしの悲鳴があがっています。今回の物価高騰がとりわけ国民生活にとって苦しく深刻な打撃となっているのは、自民党政治のもとで30年という長期にわたって経済の停滞と衰退――いわば「失われた30年」で、暮らしの困難が続いているところに、物価高騰が襲いかかっていることによるものです。

賃金が上がらない国――日本は、世界でも特異な「賃金が上がらない国」となっています。実質賃金は、1991年から2022年にかけて、アメリカは1.48倍、イギリスは1.46倍、フランスは1.33倍、ドイツは1.30倍になっていますが、日本は1.03倍と、この30年で先進国で唯一、「賃金が上がらない国」となっています。直近の10年間でみると、実質賃金は増えるどころか、年間24万円も減ってしまいました。1996年のピーク時からだと年間64万円も減り、30年前の水準にまで落ち込みました。こんな国は日本だけです。

重税と貧しい社会保障・教育――消費税は5%から、8%、10%へと14兆円もの大増税が行われました。「社会保障のため」との名目で増税したのに、増税分は富裕層・大企業減税などの穴埋めに消え、社会保障は、年金、医療、介護などあらゆる分野で負担増と給付削減が繰り返されました。この30年程の間に、国民年金保険料は2倍、国保料・税(1人当たり)は1.5倍、介護保険料も2倍にもなりながら、年金は10年前に比して実質7.3%も減り、医療の窓口負担は増え、介護制度も悪くなる一方でした。世界有数の高い学費にくわえ無償とされる義務教育でも給食費など重い教育費の負担が暮らしにのしかかっています。高学費と貧しい奨学金制度によって、若者が背負わされている借金は総額10兆円にもおよび、30年間で7倍にもなりました。日本は社会保障や教育への公的支出は先進国で極めて低い水準です。

食料・エネルギーが自給できない――食料自給率は38%と、この30年余で10ポイント近くも下落しました。エネルギー自給率も10%と先進国で最低水準です。暮らしと経済の基盤である食料とエネルギーを外国に頼っていることが、ウクライナ侵略など国際情勢の危機にさいして脆弱な経済にしてしまっています。

長期にわたって経済停滞・暮らしの困難が続き、経済も生活もへとへとに疲弊しているところに、物価高騰が襲ってきた。ここにいまの国民生活の苦しさの特別に深刻な実態があります。暮らしも、経済も、「良くなる」という希望が見えない、という深刻な状況、閉塞感を打開する抜本的な方策こそ、いま求められているのではないでしょうか。

根本に財界の目先の利益優先の政治のゆがみが

30年におよぶ経済停滞・暮らしの困難をつくりだした根本にあるのが、財界の目先の利益優先の政治です。

「賃金が上がらない国」にしてしまった最大の原因は、財界の要求に応じてすすめられた雇用破壊の政治です。目先の利益拡大の経営にはしる財界の要求に応えて、労働法制の規制緩和が繰り返され、低賃金で不安定な非正規雇用で働く人を労働者の4割にまで広げ、正社員には長時間労働が押しつけられました。その一方で、大企業の内部留保はこの10年間でも180兆円近くふえ510兆円にも膨れ上がりました。大企業が利益を増やしても、内部留保に滞留し、賃上げや下請け単価の上昇などで経済全体に還流しない構造がつくられてしまっていることが、日本経済のまともな成長の大きな障害となり、企業自身にとっても発展の障害になっています。

財界の税・社会保険料負担軽減の要求に応えて、大企業・富裕層への減税・優遇税制を拡大する一方で、消費税大増税が、国民の強い反対の声、景気後退への大きな危惧を無視して強行されました。消費税増税が繰り返されるたびに、国民の実質所得が大きく奪われ、経済と景気は大打撃を受けました。”社会保障費の増大は企業の利益を減らし経済成長を阻害する”という財界の主張をうのみにして、社会保障費の削減・抑制が政権の「最大の課題」であるかのようにされ、教育への公的支出も抑制・削減されてきました。

財界・大企業の目先の利益が優先され、「食料は外国から買えばいい」と輸入自由化と農業つぶしをすすめ、原発と石炭火力を推進する一方で、100%国産エネルギーである再生可能エネルギーの開発・活用を後回しにしてきた結果、暮らしと経済の基盤である食料とエネルギーを外国からの輸入に頼る不安定な経済社会に落ち込んでしまいました。省エネと再エネによる気候危機打開の取り組みも大きく立ち遅れています。

三つの柱からなる「経済再生プラン」を提唱する

こうした現状のもとで、政治に強く求められているのは、物価高騰から暮らしを守る緊急の手だてをとりながら、30年におよぶ経済停滞・暮らしの困難を打開する、経済政策の抜本的改革によって、暮らしに希望がみえる日本経済の再生をはかることです。

そのために日本共産党は、次の三つの柱からなる「経済再生プラン」を実行することを提唱するものです。

①政治の責任で賃上げと待遇改善をすすめる――人間を大切にする働き方への改革
②消費税減税、社会保障充実、教育費負担軽減――暮らしを支え格差をただす税・財政改革
③気候危機の打開、エネルギーと食料自給率向上――持続可能な経済社会への改革

日本共産党が提案する三つの改革は、国民の暮らしを支えるために緊急に必要なものであると同時に、長期にわたって暮らしと経済を悪化させてきた構造的な問題を解決し、希望が見える日本にしていく改革です。

これを実行するためには、どれも大きな抵抗があるでしょう。財界・大企業優先の政治で得た「既得権益」にしがみつく勢力の抵抗と真正面から対決する必要があります。財界・大企業からの献金をいっさい受け取らず、財界のもうけ優先の政治をもとから変え、国民の立場でがんばりぬける日本共産党ならではの提案です。

抵抗をはね返しながら、改革をすすめるためには国民の世論と運動が不可欠です。日本共産党は、国会の内外で多くの方々と力を合わせ、共同の輪を広げて、前にすすめていくために全力をつくします。

1、政治の責任で賃上げと待遇改善をすすめる――人間を大切にする働き方への改革

岸田首相は、実質賃金が下がり続けていても「賃上げを実現した」など恥ずかしげもなく言っています。「賃金が上がらない国」にした政治の責任が厳しく問われています。長期の賃下げ状態を打ち破るためには、従来のやり方から抜け出した大胆な賃上げ政策が必要です。

(1)物価上昇を上回る賃上げを、政治の責任であらゆる分野ですすめます

●最低賃金を時給1500円、月額で手取り20万円程度に引き上げます。そのカギとなる中小企業の賃上げへの直接支援を10兆円規模で行います。

今年改定された最低賃金は、全国加重平均で時給1004円、年収では184万円にとどまり、地域の格差は220円、年収で40万円もの差になります。

最低賃金でも日本は世界から大きく遅れ、ドイツ(1923円)、イギリス(1875円)、フランス(1785円)の5~6割程度で、韓国(1084円)にも抜かれました。岸田首相は「2030年代半ばに1500円に」など10年先まで引き延ばす姿勢です。これでは日本の賃金は、ますます世界から取り残されてしまいます。

――中小企業の賃上げへの直接支援を抜本的に強化して、時給1500円に引き上げます。
――地方格差をなくし、全国一律最賃制を確立します。

●大企業の内部留保に時限的に課税して、大企業も、中小企業も賃上げを促進します。

大企業の内部留保は510兆円にもなり、この10年間で180兆円近くも増えました。利益が増えても賃上げに回らず内部留保が積み上がる――このゆがんだ構造に切り込み、大企業内部に滞留する巨額の資金を賃上げで経済に還流する方策をとらなければ、長期の賃下げと経済停滞を変えることはできません。

――この10年間に大企業が増やした内部留保額に対して、毎年2%、5年間の時限的課税で10兆円の財源をつくり、中小企業の賃上げを支援します。
――大企業の内部留保課税にあたっては、賃上げ分を控除し、賃上げすれば課税されない仕組みとして、大企業自身の賃上げを促進します。

●ケア労働者の賃金を国の責任で引き上げ、待遇を改善します。

国が公定価格や報酬で決めている介護、保育などのケア労働者の賃金は、全産業平均より「月5万円以上」も低いとされており、国の責任で「全産業平均」並みに引き上げます。雇用の正規化、長時間労働の是正など、労働条件を改善します。

●男女の賃金格差を是正し、賃金の底上げをはかります。

日本のジェンダーギャップ指数は146カ国中125位と世界でも圧倒的に遅れた国になっています。その大きな要因の一つに、年収で240万円、生涯賃金では1億円近くもの大きな男女賃金格差があります。

ILO(国際労働機関)は「ディーセントワーク(人間らしい労働)の核心はジェンダー平等である」(2009年総会)と位置づけ、労働者の賃金や権利、社会保護などのあらゆる労働問題はジェンダー平等を促進する方向で解決すべきだとしています。

女性活躍推進法に基づく情報公表制度や有価証券報告書で企業による男女賃金格差の公表が始まりました。ジェンダー平等を求める世論と運動の成果ですが、格差是正に向けた第一歩です。同一価値労働同一賃金の原則を徹底し、女性の低賃金をなくし、男女賃金格差を是正します。

――企業ごとの男女賃金格差の公開を徹底するとともに、企業が是正計画を作成・公表し、その履行を国が指導・督励する仕組みをつくり賃金格差を是正します。
――同一価値労働同一賃金、均等待遇を労働法で明文化します。
――間接差別を禁止し、雇用形態による差別や低賃金の業務に女性の比率が高いことなどについて、是正措置をとります。

(2)非正規ワーカー待遇改善法(仮称)をつくり、待遇改善と正社員化をすすめます

雇用破壊の政治が、非正規雇用の労働者を20年で1.5倍に増やし、働く人の4割を非正規にしてしまいました。これが低賃金構造を拡大、固定化し、格差と貧困をひろげ、日本を「賃金が上がらない国」にしてしまった最大の要因になっています。また、非正規雇用の7割が女性であり、男女賃金格差の大きな要因になっており、ジェンダー平等を阻害しています。

ヨーロッパでも非正規雇用は増加しましたが、「同一価値労働同一賃金」「均等待遇」などの労働者保護をすすめ、待遇改善と格差是正をはかっています。韓国でも、非正規雇用の問題は後回しにされてきましたが、2000年代に入り、政治主導で待遇改善をすすめ、公務労働における非正規から正規への転換も推進しています。

EU(欧州連合)やILO条約などで確立している国際基準をふまえ、非正規雇用者の労働者としての権利を守り、企業(雇用主)に雇用責任を果たさせる労働法にする必要があります。非正規ワーカーの待遇を抜本的に改善することは、非正規雇用から正規雇用への転換をはかるうえでの一番の力にもなります。

●非正規ワーカーの待遇改善をはかる国際基準のルールを確立します。

――有期雇用、派遣労働は、臨時的・一時的業務に限定します。
 雇用は期間の定めのない直接雇用が大原則で、有期雇用は合理的理由がある場合に限定するのが国際基準です。
――期間制限を設け、超えた場合には、正規雇用にします。
 派遣の受け入れ期間の上限を1年とします。有期雇用での「無期転換ルール」を厳守させ、違法・脱法的な解雇・雇い止めをやめさせます。

●雇用形態・賃金格差公示制度をつくり、企業ごとに正規・非正規の構成比と賃金格差、男女賃金格差を公表するようにします。

韓国では、2014年から企業(従業員300人以上)に雇用形態の公示を義務づけています。EUでは、男女賃金格差の公表や、労働者が同等の仕事をしている他の労働者の平均賃金の情報を得る権利などを定めた「EU賃金透明性指令」を決定しました。日本でも、男女の賃金格差の公表が始まりましたが、企業(常用労働者301人以上)ごとに正規・非正規の構成比と、雇用形態などによる賃金格差を公表させる制度をつくります。

●国、自治体が率先して非正規雇用の待遇改善をすすめます。

新自由主義の政治は、「小さな政府」などと「公共の役割」を縮小・放棄し、公務員削減と非正規職の増大、業務の民間委託をすすめました。そのもとで教育、保育、保健、医療などの公的分野でも人間らしい雇用が壊され、「人手不足」が深刻になっています。

地方の非正規公務員は112万人を超え、全職員の3~4人に1人にまで広がっています。とくに、国家資格などを有する専門職の分野ほど非正規化がすすみ、「公立」の図書館職員の73.3%、保育士の56.9%、消費生活相談員の83%、婦人相談員の83%が非正規職です。多くが「官製ワーキングプア」と言われる低賃金・不安定雇用で働いています。公的分野が率先して非正規雇用の待遇改善を積極的にすすめるべきです。

――国、自治体などで働く非正規公務員・労働者の時給をただちに1500円以上に引き上げます。
――岸田政権は「非正規で望む人は正社員に」と言っています。国、自治体で働く非正規公務員で「望む人」は正規化する仕組みと財政措置をとり、まず足元から公約を実行することを求めます。

●ギグワーカー、フリーランス、シフト制労働者などの権利保護のルールをつくります。

――企業が保険料負担も含めてギグワーカーやフリーランスの労災に責任を持つ仕組みをつくるなど労災補償を実現・拡充します。
――ギグワーカー、フリーランス、クラウドワーカーの団結権、団体交渉権、ストライキ権を保障するとともに、賃金の最低保障や休業手当の支給などを制度化します。
――シフト制労働者の権利を守るために、労働契約に賃金の最低保障額や休業手当を明記させるようにします。

(3)「過労死」をうみだすような長時間労働をなくします

低賃金の非正規雇用の拡大と同時に、労働時間の「規制緩和」も繰り返され、長時間・過密労働が強化されてきました。「過労死」が依然として日本社会の大問題となっています。長時間労働は、労働者の健康と命を脅かすとともに、家族的責任を果たすことを困難にしています。

――残業時間の上限を「週15時間、月45時間、年360時間」に規制します。現状は、「特別の事情のある場合」に「月100時間未満」などと「過労死基準」を超える残業が容認されていますが、こうした規定を撤廃し、残業時間の上限を順守させるようにします。連続11時間の勤務間インターバル規制を制度化します。
――裁量労働制の抜本改善、残業代ゼロ制度(高度プロフェッショナル制度)の廃止、名ばかり管理職など、長時間労働の「抜け穴」・脱法行為をなくします。
――「サービス残業」を根絶するために、実労働時間を正確に把握・記録し、違法が発覚したら残業代を2倍にします。

(4)職場からハラスメントを一掃します

ILOは、労働の世界における暴力とハラスメントを禁止する法律の制定を各国政府に求める、ハラスメントを包括的に禁止する条約を採択しました(2021年6月発効)。日本政府がこの条約を批准し、ハラスメント禁止を法律に明記することを求めます。

――ハラスメントを法律で禁止し、働くすべての人を対象にします。

2、消費税減税、社会保障充実、教育費軽減――暮らしを支え格差をただす税・財政改革

繰り返されてきた消費税増税は、国民の暮らしを苦しめ、日本経済を停滞・衰退させる最大の元凶の一つとなってきました。

その一方で、社会保障と教育への予算は、国際水準にてらしてもあまりに貧弱な水準に押し下げられてきました。

日本の社会保障への支出(社会支出)はGDP(国内総生産)の22.9%にとどまり、ドイツ(28.1%)、フランス(31.4%)、イタリア(28.7%)、デンマーク(30.8%)などの欧州諸国や、「自己責任の国」と言われるアメリカ(24.1%)よりも低い水準です。

教育への公的支出も、OECD(経済協力開発機構)加盟国のなかで比較可能な37カ国中36位と最低水準です。家族関係社会支出(保育・幼児教育、児童手当、産前産後の休業補償などの子育て関連の社会支出)もOECD加盟国のなかで比較可能な35カ国中25位です。

このように日本は、社会保障も教育も子育ても、国民の暮らしを支える公的支出が経済力に比べてあまりに低すぎます。それにもかかわらず、国・地方の借金が先進国で最悪なのは、富裕層・大企業への行き過ぎた減税や大型開発、軍拡など、税・財政のあり方がゆがんでいるからです。

消費税減税、社会保障充実、教育費負担軽減など、暮らしを支え格差をただす税・財政の抜本的改革を行います。

(1)消費税減税、インボイスの中止、中小企業の過剰債務問題の解決をすすめます

●消費税の廃止をめざし、緊急に5%に減税します。

物価高騰は食料品をはじめとしてあらゆる分野に及んでおり、岸田政権の部分的な一時しのぎの対策だけでは、国民生活を守ることはできません。消費税を導入し増税を繰り返して、そのたびに国内消費を冷え込ませてきたことが、30年もの長期にわたる経済停滞の大きな原因です。

消費税減税こそ、物価高騰から暮らしを守り、内需を拡大し、経済を立て直すうえで、最も有効かつ抜本的な対策です。日本共産党は、最悪の不公平税制である消費税の廃止をめざして奮闘するとともに、緊急に5%への引き下げを求めて、幅広い方たちとの共同を広げます。

――消費税の廃止をめざし、緊急に5%に引き下げます。

●インボイス導入はきっぱり中止します。

いま多くの免税事業者が、取引先からインボイス登録をするか、消費税相当分の値引きをするかの「悪魔の二者択一」を迫られています。財務省の試算でも、免税業者の年間粗利益は平均154万円であり、課税業者になった場合、15万円もの消費税負担が生じます。物価高騰のもと、数百万から1千万もの零細事業者やフリーランスで働く人に深刻な負担増をもたらし、多数の廃業を生み出す血も涙もない政治を許してはなりません。

多くの反対の声にもかかわらず、政府がインボイス導入に固執するのは、消費税大増税へのレールを敷くためです。税率が15%、20%となれば、いくつもの段階で複数税率が必要となり、そのための地ならしとしてインボイスを導入しようとしているのです。ですから、この問題は、小規模事業者やフリーランスのみなさんの問題にとどまらず、すべての国民にかかわる大問題です。

――インボイス導入はきっぱり中止すべきです。
――消費税を5%に減税すれば、複数税率もなくなり、政府のインボイス導入の口実もなくなります。インボイス導入でなく、消費税減税こそ決断すべきです。

●中小企業の過剰債務問題の解決をすすめます。

物価・原材料の高騰に加えて、過剰債務が中小企業・小規模事業者の経営に重くのしかかり、”コロナ危機”を上回る倒産・廃業が起きる危機を打開する必要があります。

――コロナ対応融資(ゼロゼロ融資)を「別枠債務」にして、事業継続に必要な新規融資が受けられるようにします。
――債務の減免を含めた「中小企業・事業再生スキーム」を、より小規模な事業者にも適用できるようにします。
――「地域経済再生給付金」(仮称)を創設し、困難に直面している中小企業・小規模事業者への直接支援を行います。

●中小企業の価格転嫁対策を強めます。

原材料価格やエネルギー価格などが上昇するなか、取引先の親会社が転嫁に応じないなど、それを価格転嫁できずに物価高倒産に追い込まれる中小企業が増えています。
――下請代金法の罰金引き上げや被害救済の違反金制度の創設など、下請け企業が価格転嫁できるようにします。

(2)暮らしを支え、権利を保障する社会保障を築きます―”社会保障は経済”を忘れてはならない

年金・医療・介護・福祉などの社会保障は、憲法25条に保障された国民の大切な権利です。同時に、社会保障は経済の重要な部分を占めています。社会保障が削減されれば、家計の負担が増え、所得は減ります。さらに、生活不安・将来不安も増大し、消費と経済への大きなマイナスとなります。

ところが、この30~40年来、日本の政治はそれを繰り返してきました。自民党政治は”社会保障は企業の税・保険料の負担を増やし、経済の邪魔になる”という財界の言い分に従って、国の社会保障予算を削り込んできました。その結果は〔表〕のとおりで、たいへんな負担増が国民に押しつけられました。そのことが経済全体に大きな打撃となったことは明らかです。

〔表〕社会保障にかかわる負担・給付の変化
国民年金保険料 月8400円(1990年度)⇒ 月1万6540円(2020年度)
国民健康保険料・税(1人当たり) 年6.2万円(1990年度)⇒ 年9.6万円(2020年度)
介護保険料(1人当たり) 月2911円(2000年度)⇒ 月6014円(2021年度)
健保本人の外来医療費 1割負担(1990年度)⇒ 3割負担(現在)
75歳以上の外来医療費 1カ月800円(1990年度)⇒ 1~3割負担(現在)
介護サービスの利用料 1割負担(2000年度)⇒ 1~3割負担(現在)
年金支給額 2013~2023年度(第二次安倍政権以降)で実質7.3%減

●物価上昇に応じて「増える年金」への改革、「頼れる年金」制度への改革をすすめます。

――物価高騰のもとで年金の実質目減りが深刻です。物価上昇に応じて「増える年金」にします。マクロ経済スライドなどの年金削減システムをやめます。高額所得者の保険料優遇を見直して新たに1兆円の財源を確保し、200兆円を超える年金積立金を計画的に活用して物価上昇に応じた年金額にします。現役世代の賃上げと正社員化をすすめることにより、持続可能な年金財政を確立します。
――公的年金制度のなかに「あらゆる人に最低限の年金額を保障し、無年金・低年金者をつくらない」という最低保障の仕組みがないのは、先進国では日本だけで、国連からも「最低年金を公的年金制度に導入する」ことが「勧告」されています。低年金の底上げ、最低保障年金の導入など「頼れる年金」にするための改革をすすめます。

●健康保険証存続、医療費の負担軽減、病床削減をやめ医療体制の整備・拡充をすすめます。

――健康保険証の廃止、マイナ保険証への「一本化」を中止します。
――公費1兆円を投入し、人頭税のようにかかる均等割・平等割を廃止して、高すぎる国民健康保険料(税)を抜本的に引き下げます。
――75歳以上の医療費窓口負担の2割への引き上げを中止し、高すぎる窓口負担の軽減をすすめます。
――病床削減と病院統廃合の押しつけをやめ、医師・看護師を増員して、地域医療の体制を拡充します。

●介護保険の改悪をやめさせ、高齢者も現役世代も安心できる介護・福祉制度にします。

――軽度者・要支援者からの介護サービスの取り上げを中止し、介護保険の給付の充実を図ります。保険料・利用料の減免、介護・福祉職員の処遇改善、ワンオペ夜勤解消など労働条件の改善、特養ホームなど施設の抜本的増設で、すべての世代が安心できる介護制度にします。
――障害者・児の福祉・医療の「応益負担」を撤廃し、無料にします。教育・就労・年金など障害者・児のあらゆる権利を保障します。

●生活に困っている人への支援を強化します。

――自公政権が行った生活保護費削減を緊急に復元し、物価高騰に見合った支給水準に引き上げます。保護申請の門前払い、扶養照会、自動車の保有やわずかな預貯金を理由に保護利用を拒む運用などを改めます。名称を「生活保障制度」に変え、権利性を明確にし、必要なすべての人が利用できる制度に改革します。
――「住まいは人権」の立場で、若い世代、高齢者、低所得者に向けた家賃補助や公的住宅の整備を行うなど、住居へのセーフティーネットをつくります。

(3)子育て支援を抜本的に拡充し、男女ともに家族的責任を果たせる働き方への改革をすすめます

岸田政権は「異次元の少子化対策」などと言いましたが、「児童手当の所得制限の撤廃と高校生までの支給延長」程度の「低次元」な子育て支援策しか提示できず、その財源も示せません。

子どもが生まれる数が減り、人口減少社会になったのは、労働法制の規制緩和による人間らしい雇用の破壊、教育費をはじめ子育てへの重い経済的負担、ジェンダー平等の遅れなど、暮らしと権利を破壊する政治が、日本を子どもを産み、育てることを困難な社会にしてしまったからです。

子どもを産む、産まない、いつ何人産むかを自分で決めることは、とりわけ女性にとって大切な基本的人権です。リプロダクティブ・ヘルス&ライツ(性と生殖に関する健康と権利)こそ大切にしなければなりません。「少子化対策」と称して、個人の尊厳と権利を軽視し、若い世代、女性に社会的にプレッシャーをかけるようなことがあってはなりません。多様な家族のあり方やシングルなど、どんな生き方を選択しても個人の尊厳と権利が尊重される社会にする必要があります。

同時に、政治のあり方が大きな要因となって、子どもの数が減り続けることは克服しなければならない日本社会の重要な課題です。「対策」をすべきは、子どもを産み育てることへの困難を大きくした政治を変えることです。

●重い教育費負担の軽減をはじめ子育て支援を抜本的に強化します。

――高等教育の無償化に向け、大学・短大・専門学校の授業料を国の責任でただちに半額にし、無償化を計画的にすすめます。他の先進国にはない入学金制度をなくします。奨学金は、給付制中心に改めるとともに、貸与奨学金の返済を半額に減らします。
――学校給食費を無償化します。憲法26条は義務教育を無償としており、国の責任で無償化すべきです。
――高校卒業までの子ども医療費無料化を国の制度として実施します。
――子育てにかかわる「人」を抜本的に増やします。教員定数の抜本増をすすめ、長時間過密労働を解消し、残業代不支給制度を廃止します。教員の働き方を変えて教員不足を解決します。保育士配置など、保育の最低基準を改善します。
――一人一人にゆきとどいた教育のため、少人数学級を抜本的に前進させます。
――子どもの権利条約にそくして、子どもの権利を尊重します。行き過ぎた競争教育を是正します。

●男女ともに家族的責任を果たせる働き方に改革をはかります。

子育てしにくい社会を変えるためには、賃上げと長時間労働の解消など「人間を大切にする働き方改革」が必要です。それとともに、育児休業をはじめとした子育て中の労働者とその家族の生活をささえ、権利を守る仕組みを整備する必要があります。

――育児休業中の生活を保障する休業補償を拡充します。
女性の育休取得率は9割をこえていますが、男性はわずか14%であり、その5割超が育休取得期間は2週間未満です。収入減少への不安が取得できない理由の一つになっています。育休中の休業補償は、1年間は休業前の手取りの所得を補償する水準に引き上げます。

――子育て中の労働者への残業や転勤の制限など配慮・規制を行います。
子育て中の労働者の残業は本人同意を原則とします。単身赴任や長時間通勤を伴う転勤は本人が希望する場合以外は原則禁止します。短時間勤務制度は、小学校入学前まで延長し、所得補償の制度をつくります。深夜労働の免除も中学校入学前まで請求できるようにします。

(4)「暮らしをまもり、格差を是正する税・財政改革」を――日本共産党の財源提案

●「暮らしをまもり、格差を是正する」のが、税・財政の本来の役割です。

税・財政が果たすべき役割は、社会保障や教育をはじめ、国民の暮らしや営業をまもることと、能力に応じた税制や社会保障制度による所得の再分配で、格差の是正をはかることです。

ところが、政府はこの本来の役割を投げ捨てて、まったく逆立ちした政策をすすめてきました。消費税の税収は、今年度までの累計で509兆円にものぼりますが、消費税増税とほぼ同じ期間に法人税や所得税などは地方税を含めて600兆円も減ってしまいました。大企業・富裕層への減税と景気悪化による減収です。消費税はその穴埋めに消えてしまったのです。法人税・所得税の税収減と、大手ゼネコンのための大型公共事業や、アメリカいいなりの軍拡などが重なり、消費税創設後の35年間で、国債残高は900兆円も増えました。国民に大増税と負担増を押しつけながら、国の借金も増やしたのが自民党政治です。

先進国で最悪の借金財政を支えるため、政府は日銀に超低金利政策を続けさせ、その結果、金融政策は行き詰まり、異常円安と物価高騰の一要因となり国民生活に大きな被害をあたえています。欧米諸国が「インフレ対策」として、利上げを実施しましたが、日本だけは、借金財政を支えるために超低金利政策を転換できず、「日米金利差」による円安が急速に進行しました。歴史的な円安による輸入価格の高騰が引き金となった物価高騰が暮らしと経済に襲いかかっても、「利上げ」もできず円安を止める対策がとれない、お手上げ状態です。その一方で、大企業や富裕層への減税をはじめ、円安で外需向け大企業は巨額の利益をあげ、株価高騰と国債ビジネスによって、富裕層や大銀行、海外投資家にも利益がもたらされています。

いまこそ、こうした暮らしを壊し格差を拡大する税・財政のあり方を抜本的に転換することが必要です。

●日本共産党の財源提案の基本的な考え方

日本共産党の財源提案の基本的な考え方は以下のとおりです。それは、国民の切実な願いを実現する財源を生みだすとともに、「暮らしをまもり、格差を是正する」という税・財政の本来の姿を取り戻す立場にたったものです。

①コロナ対策や災害対策、物価高騰への緊急策などをはじめ緊急的・時限的な財源は、国債の発行など臨機応変な対応が必要です。

②社会保障、教育などの恒久的な制度を拡充するためには、税・財政構造の転換によって、持続可能な財源を確保します。

安易に借金に頼ったのでは、格差を広げる税・財政構造を温存することになります。また、政府債務急増は、激しいインフレを引き起こす危険があり、過酷な物価高騰で暮らしが破壊される事態は起こしてはなりません。

③国民にとって積極的かつ健全な財政運営をめざします。

現在の財政状況からすれば、税・財政の改革によって、新たな財源を確保したとしても、政府の借金額それ自体は増加していくことになります。「借金を減らす」「財政赤字がたいへん」などを口実に、消費税を増税したり、社会保障を削減したりする緊縮政策を行えば、暮らしは破綻し、景気がさらに悪化して、その結果、財政危機もいっそう深刻化します。借金が多少増えても、経済が成長していけば、借金の重さは軽くなっていきます。国民の暮らしを応援する積極的な財政支出によって、健全な経済成長をはかり、そのことをつうじて借金問題も解決していく――そうした積極的かつ健全な財政運営をめざすことが必要です。

●「暮らしをまもり、格差をただす」の基本原則にたって積極予算を提案します。

日本共産党の提案は、社会保障や教育、消費税減税など持続的な制度、暮らしを支え、消費と需要を創出する経済対策は22兆円規模、内部留保課税による中小企業の賃上げ支援や奨学金返済の半額免除などの緊急対策は18兆円規模という積極予算をすすめるという提案です(詳細は別項)。30年間もの長期にわたる経済の停滞・衰退、「失われた時間」の大きさからも、それを打開するには、従来型にとどまらない暮らしと経済を立て直す積極予算が必要です。

その財源は財政の民主的改革と応能負担の税制改革、そして国債の適正な活用でまかないます。これがわが党の持続可能な税・財政改革の提案です。

大企業・富裕層に応分の負担を求める税制改革で、国民の暮らしを支える財源をつくります……大企業・富裕層への優遇税制をただし、中小企業を除く法人税率を安倍政権以前の28%に戻し、大企業・富裕層に応分の負担を求める税制改革を行います。こうした歳入改革によって、年間14.6兆円の財源を確保します。

暮らしも平和も破壊する大軍拡ストップ――暮らし優先の歳出改革をすすめます……歳出面では、大軍拡の中止、大型開発や原発推進予算の見直し、政党助成金の廃止などで7.4兆円の財源を確保します。

歳入・歳出改革とあわせて年間22兆円の財源で、消費税減税、社会保障拡充、重い教育費負担の軽減、子育て支援などの施策を実行します。同時に、緊急対策として、時限的な大企業への内部留保課税による中小企業の賃上げ支援を10兆円規模で行います。奨学金の返済半減や緊急の物価高騰対策など、一時的な支出には国債増発による対応も行います。

「日本共産党の経済再生プラン」の対策規模

項目 所要財源
恒久的な施策 消費税の5%への減税 14兆円
賃金・雇用(ケア労働者の賃上げなど) 1.9兆円
社会保障(年金引上げ、国保料軽減、介護の拡充など) 3.8兆円
子育て・教育(教育費負担軽減、育児休業補償拡充など) 4.2兆円
その他(中小企業・農業・環境) 0.8兆円
重複計上分(注) ▲ 2.7兆円
22兆円
緊急策 最低賃金引上げのための中小企業支援 10兆円
奨学金返済負担の半減 5兆円
中小企業の過剰債務対策、飼料・資材等の高騰対策 3兆円

(注)ケア労働者の賃上げ、保育士や教員の定数改善、子ども医療費無料化などが、「賃金・雇用」「社会保障」「子育て・教育」の各項目で重複することの調整分

税財政改革により確保される財源

恒久的施策分の財源 財源額
法人税制の改革(大企業優遇の是正、法人税率を28%に戻す) 9.1兆円
所得税等の改革(大株主優遇の是正、最高税率の引上げなど) 2.3兆円
新たな税制の創設(富裕税・為替取引税など) 3.2兆円
歳出の改革(軍事費・原発推進予算・政党助成金など) 7.4兆円
22兆円

「緊急策」の財源は、内部留保への課税(5年間で10兆円)で最賃引上げ支援の財源、その他は「防衛力強化資金」の取り崩し、一時的な国債増発などによって確保

3、気候危機打開、エネルギー・食料の自給率向上――持続可能な経済社会への改革

気候危機、食料危機の打開は、国民の命を守るうえでも、地球規模での責任を果たすうえでも、避けて通ることのできない課題です。同時に、気候危機打開への省エネルギーと再生可能エネルギーの取り組みも、食料危機打開への食料自給率向上、食料生産増の取り組みも、新しい需要と雇用を生み出し、地域の循環型経済の発展をすすめるなど、持続可能な経済社会へのカギを握っている大切な課題です。

(1)気候危機打開――省エネ・再エネを推進し、脱炭素・原発ゼロの日本をつくります

「地球沸騰化」と言われるまで気候危機は進行しています。世界のCO2排出量の81%は、経済規模の大きい20の国・地域(G20)が出し、日本は世界第5位のCO2排出大国です。「気候正義」の立場からも日本には大きな責任があります。

しかし、イギリスやドイツは1990年比でCO2を4~5割減らしているにもかかわらず、日本は1割減にとどまっています。再エネ電力の割合も、英独がすでに約45%なのに、日本は22%です。この30年間で、日本は気候危機の対応で完全に「周回遅れ」となってしまいました。

ところが岸田政権は、いまだに石炭火力に固執し、大型石炭火力の建設を続け、先進国で唯一、石炭火力からの撤退期限を明示しない国になっています。国連の「気候野心サミット」で岸田首相の演説が拒否されましたが、日本の脱炭素の取り組みは遅れ、責任を果たしていないという国際的な評価が下されているのです。さらに福島で大事故を起こした原発を「クリーンエネルギー」と称して再稼働・新設に突き進んでいます。石炭火力や原発に頼るエネルギー政策に固執しているかぎり、省エネ・再エネによる気候危機打開の取り組みはどんどん遅れてしまいます。

●2030年度までにCO2排出を50~60%削減(10年度比)することを国の目標にします。

――この目標を省エネと再エネを組み合わせて実行します。エネルギー消費を4割減らし、再生可能エネルギーで電力の50%をまかなえば60%の削減は可能です。
――2050年までに、残されたガス火力なども再エネに置き換え、実質ゼロを実現します。
――石炭火力から2030年までに計画的に撤退します。

●再エネ・省エネによるエネルギー自給率の向上で、経済の持続可能な発展につなげます。

再エネは、日本中どの地域にも存在し、潜在量は電力需要の7倍とされています。輸入価格の高騰がエネルギー自給率10%の日本経済を翻弄していますが、岸田政権は、石炭火力や原発にたよることで、100%国産のエネルギーである再エネを開発・導入できるチャンスを逃しています。

――地域が主体となって開発・運営し、住民の合意と協力で、地域に利益を還元する開発・導入をすすめます。ゾーニングなどの乱開発防止のルールを決め、環境保全と両立する再エネの利用を推進します。
――住宅や小規模工場など既存の建物や公共施設、ソーラーシェアリングなど未利用地への太陽光パネルの設置、住宅・学校をはじめ建物の断熱や省エネの推進、ゼロ・エネルギーの住宅・建物の建設、未利用熱・地中熱の有効活用などをすすめます。
――CO2排出量が大きい業界、大規模事業所に、CO2削減目標と計画、実施状況の公表などを「協定」にして政府と締結することを義務化します。省エネの取り組みを産業、都市・住宅など、あらゆる分野ですすめます。
――豊富な地域の再エネ資源を全国的にも生かすために、大規模・集中的・一方通行型の電力供給システムから、分散・変動的・広域運用型のシステムに転換します。そのために送電網の整備、蓄電システムの導入、配送電事業の広域化をすすめます。

●原発ゼロの日本に……異質の危険をもち、最悪の高コストで、「核のゴミ」を増やし続け、再エネ普及を妨害する原発だのみをただちにやめます。

岸田政権は、原発推進へと大きくかじを切り、全国で再稼働をすすめ、設計年数を超えて60年以上も老朽原発を稼働し続けるとしています。しかし、原発に「絶対安全」などありえない、とりわけ世界有数の地震・津波国である日本での原発だのみはできない、それが東京電力福島第1原発の大事故の最大の教訓です。

福島原発事故は終わっていません。溶け落ちた核燃料デブリを取り出すこともできず、廃炉のメドもたたず、地下水が核燃料に接した放射能汚染水が何十年も発生しつづけます。たまり続ける使用済み核燃料を安全に処理・処分する方策もないまま、再稼働・新設を行えば、将来世代に深刻な負担を残します。そして原発は究極の高コストです。原発の発電コストは再生可能エネルギーの3から4倍で、新規建設費はフランスなどでは1基1.5~2兆円とされるほど高騰しています。原発再稼働の一方で、「供給が多すぎる」と太陽光発電をカットする事態が広がるなど、原発は再エネ普及の大きな障害にもなっています。

――原発の再稼働を中止し、稼働中の原発を停止し、廃炉をすすめます。
――核燃サイクルからただちに撤退します。
――関係者の合意もなく、代替策の真剣な検討もないままでの、汚染水(アルプス処理水)の放出を中止します。

(2)食と農業を守る――食料自給率の向上は、国民的課題であり、世界的な食料危機、飢餓問題を解決する責任です

日本農業の危機が急速にすすみ、この10年で農業者(基幹的農業従事者)は3割も減少し、東京都に匹敵する面積の農地が失われました。漁業生産量も、20年で3割以上も減りました。

日本の食料自給率はカロリーベースで38%と、異常な水準まで低下しています。肥料・飼料・種子などを考慮すればさらに自給率は大きく下がります。自給率が異常に低下した日本を、世界的な食料危機が直撃しています。ロシアのウクライナ侵略による小麦などの高騰もありますが、より根本的には8億3000万人が飢餓状態という世界的な食料不足、地球規模での食料危機です。

食と農業を守り、国民が安心できる食料を供給することは政治が最優先で取り組むべき重大な課題の一つです。

●飼料、肥料、資材、燃油をはじめ高騰を補てんするなどの緊急対策を1兆円規模で実施します。

急激な円安、物価高騰が、食料供給に重大な被害をもたらしており、これを補てんする緊急の対策は、国民の食料を守るためにも必要です。

●食料自給率の向上を国政の基本目標に位置づけ、早急に50%にすることを目標にします。

岸田政権は、食料・農業・農村基本法の見直し作業を行い、6月に「食料・農業・農村政策の新たな展開方向」を発表しましたが、そこでは国内生産力増大・食料自給率向上の旗すら下ろしてしまいました。社会、経済の基盤である食料自給率向上に真剣に取り組まないのは「亡国の政治」と言わざるを得ません。

――食料自給率を早急に50%に引き上げ、60%、70%へと計画的に引き上げを図ります。

●輸入自由化路線から転換し、食料主権を守り、国内の食料生産を増やします。

過去半世紀にわたり日本は米国の余剰農産物のはけ口とされ、輸入自由化を迫られ続けてきました。その結果、食料自給率は38%にまで落ち込んでしまいました。「食料は外国から輸入すればいい」という時代は終わっています。輸入自由化路線との決別は、国民への安定的な食料供給にとって不可欠です。

国連食糧の権利特別報告者は「WTO農業協定を段階的に廃止し、新しい食料協定の締結交渉を求める」報告書(2020年)を提出するなど、新自由主義的な貿易自由化が各国で農村の疲弊や農業の危機をもたらしていることへの反省が国際的にも広がっています。

――WTO農業協定や2国間EPA(経済連携協定)、多国間のTPP(環太平洋連携協定)などの輸入自由化路線を見直し、食料主権を回復します。

●価格保障・所得補償の充実をはじめ、農業、酪農、畜産、漁業への支援を抜本的に強化します。

農業所得に占める政府補助の割合は、ドイツ77%、フランス64%ですが、日本は30%と半分以下でしかありません。その一方で農家には「外国産に対抗できる競争力強化」を迫り、終わりのない規模拡大・コストカットを強いてきました。

――価格保障、所得補償を抜本的に充実させます。
――経営規模や専業・兼業の別、家族・法人などの経営形態にかかわらず、農業に関わる多様な人々をすべて担い手として位置づけ、数多く確保、維持することを農政の最大の目標にします。
――とれる魚種の変化に応じた資材・設備・水揚げ・加工・輸送などの変更や環境に配慮した養殖などに、抜本的な支援策を講じます。

●環境や生物多様性の保全をあらゆる農林漁業政策の前提・土台にすえ、再生可能エネルギーの利用・開発、地産地消など地域循環型の食料生産などで、農林漁村の活性化をはかります。

――有機農業への支援をはじめ、脱炭素・環境保全型の農林漁業を振興します。
――農山漁村での再生可能エネルギーの活用を推進し、ハウスなどの農業施設での化石燃料ゼロ、木材・バイオマス素材への転換など、生産プロセスの脱炭素化への取り組みを支援します。
――農地でのソーラーシェアリングや耕作放棄地での太陽光発電、小水力発電、畜産バイオマス発電、小規模木質発電、潮力発電などをすすめ、そのための農山漁村地域への送配電の設備を整備します。

おわりに――「失われた30年」からの脱却にむけ、国民的討論と合意を

日本経済がこの30年にわたって、あらゆる分野で深刻な停滞と衰退に陥り、国民の暮らしが困難に直面していることは、誰も否定できない事実です。

「失われた30年」に陥った原因はどこにあるのか。どうやったらこの深刻な事態から抜け出すことができるのか。

日本共産党は、あらゆる分野で国民とともに切実な要求実現の運動に取り組むとともに、日本経済を危機から救う抜本的打開策をつくりあげていくための国民的討論を行い、国民的合意をつくっていくことを強く呼びかけます。

私たちは、日本共産党の「経済再生プラン」は、この危機を打開し、暮らしに希望をもたらす方策を示すものとなっていると確信します。この提案が、「失われた30年」からの脱却をはかるための、国民的討論と合意のうえでのたたき台となることを心から願うものです。

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