反対討論を行いました
日本共産党の橋本満夫でございます。私は、議案第52号 財産の取得について、日本共産党柏原市会議員団を代表し、反対の立場で討論を行います。
この議案は、財政状況が厳しい中、国分中学校グラウンド整備事業用地として、民会会社社宅跡地を3億1422万1904円もかけ取得するものです。どうか、議員の皆さん、採決にあたり、児童・生徒の立場での視点、住民の立場での視点、財政的視点など、これからの柏原市政を考える上でも重大な議案である事を認識していただき、柏原市議会として、責任を持った判断をお願い申し上げます。
反対する第1理由は、不透明であることです。委員会審議でも明らかになりましたが、中野市長の鳴り物入りで始められた部長会議です。市民にも公開され、見える施策、見せる行政で透明度の向上を図る事を目的に開催されているのにも関わらず、今回の案件に対し、部長会議には、一切図られていないという事実があります。はかられないということは、見せない施策、見せない行政で不透明があると言わざるをえません。
さらには、今回の議案を上程するため、9月議会での債務負担行為が委員会で審議された際の市長の発言です。議員から、土地の取得にあたり、どちらから先に言い出したかの質疑に対し、中野市長は、「どっちが買う、買わないという問題は、当然民間の企業さんが処分するという情報はこちらは受けていました。といって、相手方からピンポイントで柏原市にどうぞというようなお話もありません。逆に、こちらから購入したいというような話もいただきません。これは、いろいろな状況から生まれた話であるということで、どっちから言うた言わんの話というのは、これははっきりと言い切れません。」と発言がありました。この答弁こそが、不透明極まりないのでは、ないでしょうか。議員のみなさんは、疑問に感じられませんか。
反対する第2の理由として、今回の土地を取得する1番の目的であり、答弁でもありましたが、この議案を賛成するということは、国分中学校区において、施設一体型小中一貫校を設置する計画を認めてしまうことになります。国も柏原市も、まるで小中一体型一貫校になれば、学力の向上やいじめ・不登校の減少につながると言われますが、果たしてそうでしょうか。
国会での参院文部科学委員会で、参考人の陳述として、藤田英典東京大学名誉教授は、「一貫校の法制化の根拠に中1ギャップが絶えず挙げられている。私は妥当性に欠けていると見ている。文部科学省の調査データの中には、中1ギャップ論は成立しない。一貫校の法制化は、いじめや不登校などへの対応策として、適切でも有効でもないだけではなく、事態の更なる悪化を招きかねない。一貫校になれば、特に大規模校で、小学校5年、6年の子供たちの萎縮、疎外やいじめ、不登校の増加を招く危険性があると考えている」という陳述からも、1つの学校施設に児童・生徒が増えることにより、いじめ・不登校の子供たちが増加する懸念があること。
また、学校の規模が大きくなることで、子供たちに与える疲労感がましているというアンケート結果も出ています。このように、施設一体型小中一貫校には、多くの課題があります。
反対する第3の理由として、国分中学校区の住民に、住民説明会など、一切情報を提供していないことです。つまり、この議案を認めるということは、住民の皆さんの合意もないまま、今後の国分東小学校と国分小学校の廃校を後押ししてしまうことになります。
学校統廃合は、未来永劫、歴史のある学校を地域から消去し、子供や住民に多大な負担や苦労をかけ、生きがいを奪う非情さを伴います。学校規模が小さく、財政効率が悪くても、憲法26条「教育を受ける権利」の保障に必要な経費を支出し、教育条件をととのえ、その利点や可能性を最大限追求するのが、国や自治体の役割です。廃校が話題になれば、地域の動揺、不安は募り、拍車がかかります。だからこそ、現状維持の選択肢も残し、住民との自由でオープンな議論、協議を保障すべきです。現時点での、柏原市の一方的な進め方は、間違っています。市民参加が全くありません。
委員会審議での、市長の答弁に、「廃校後の小学校は、処分や売却する」むねの問題発言も飛び出しました。統廃合といえば、後ろ向きですが、一貫校を設置するといえば、前向きになる、これは、まさしく、国の方針であります。すなわち、国としては、教員の削減と教育予算を削減していくのが狙いです。
柏原市立小・中学校適正規模・適正配置審議会の答申、そして、柏原市立小・中学校適正規模・適正配置基本方針でも「施設一体型小中一貫校への統合にあたっては、保護者や地域住民等に対して、広く情報を提供し、丁寧な説明や意見の収集を行うなど、きめ細やかな配慮のもとに協議を進めることで、充分な理解と協力を得ることが望ましい」とあります。
さらには、昨年、文部科学省は教育委員会が小・中学校の統廃合を検討する際の指針となる手引をだし、地域コミュニティの核としての性格を有する小・中学校の統合の適否の判断は、行政が一方的に進めるものではなく、関係者の理解と協力を得て行わなければなりません。そのためには、保護者や地域住民と危機意識や課題認識、将来ビジョンを共有するプロセスが重要となることや、検討プロセスにおいて、検討前や検討の途中で保護者や地域住民のニーズや意見を聴取するために、アンケートや公聴会、パブリックコメントなどを行うと書かれています。にも関わらず、今回の提案に際し、地域住民に対して、充分な理解と協力を得るための努力が全くされていません。
学校統廃合に関する案件は、本来、議会に提案する前に、計画する段階で、十分に市民に説明し、同意形成をとる努力をしなければなりません。
柏原市まちづくり基本条例は、なんのためにあるのですか。この条例は、「柏原市のまちづくりの基本理念を明らかにするとともに、市民の権利と責務及び、市の機関の責務を明確にし、市民がまちづくりに参加し、協働することにより、市民主体による地域社会の実現を目的とする」ことがうたわれています。柏原市まちづくり基本条例に照らし合わせても、今回の提案の仕方は、明らかに条例に反します。予算権者の市長には、地域住民の皆さんなどに情報公開と説明責任を果たす義務があります。条例に反する提案を、議会として認めてもいいのでしょうか。
最後に反対する理由として、柏原市の財政状況が厳しい中での提案であるからです。この議案が可決されれば、今後、グラウンド整備費を含めると、総額約5億円に及ぶ財源、つまり市民の方の税金が必要になることが審議の中でも明らかになりました。今の柏原市の財政にそんな余裕があるのでしょうか。
中野市政のこの4年間、財政が厳しいという理由から、市民負担を増やしてきました。公共下水道使用料金を値上げし、大阪府下43市町村ある中で、5番目に高い使用料金となりました。介護保険料も値上をし、府下で3番目に高い保険料になりました。また、火葬場使用料金も値上げをし、府下で1番高くなりました。さらには、多くの市民の国民健康保険料が毎年値上げされ、モデルケースでは、府下で6番目に高い保険料になっています。市民の皆さんに負担を押し付けた4年間でした。
このような負担に加え、町会など団体が行う、廃品回収の補助金の削減もされました。そして、小・中学校就学援助費基準を改悪し、多くの児童・生徒が受け取れなくなりました。その上、住宅用太陽光発電システム設置補助金の制度も廃止されました。財政の厳しさを理由に、市民サービスや制度を削減、廃止にしてきたのではありませんか。
今までの議会答弁でも、平成31年度までに、34億円の財源不足が生じる収支見込みであることを何回も言われました。そして、受益者負担つまり市民への負担・一部事業の有料化など、さらなる見直しを進める。と答弁されています。柏原市行財政健全化戦略には、具体的な取り組みとして、市職員の賃金カットをはじめ、長寿祝い金の見直し、金婚祝いの人間ドッグの見直し、柏原保育所の民営化や印鑑登録の手数料の見直しなどが具体的に示されています。財政状況が厳しい中で、市民生活を犠牲にしてまで、最優先に、土地の取得が必要であると議員のみなさんは、市民の皆さんに説明ができますか。
5億円あれば、小中学校に提供している給食費用を2年間無償化ができます。また、大阪府下の自治体で、1市2町が実施している、子供医療費助成を高校卒業まで拡充させるための16年間分の財源に相当します。そして、この間要望している法善寺・堅下駅のエレベーターを設置するための市の持ち出し予算は1億円です。5億円というのは、こんなにも大きな予算なんです。市の財政が厳しい時だからこそ、税金の使い方が問われています。限られた予算を市民の命と暮らしを守るために使う必要があります。学校での熱中症から子供たちを守るために、小中学校の早期の普通教室へのクーラー設置。そして、市民・職員の命に関わる問題として、耐震化ができていない、この庁舎の建て替えも早急にする必要があります。市民の健康と命に関わる問題です。
本当に必要なものには、予算をかけなければなりません。教育環境の充実と言うのであれば、各小中学校から出されている、学校施設修繕、例えば、全小中学校から要望があげられている、学校トイレの洋式化をはじめ、水漏れしてしまう堅下北小学校のプール槽の改修、横なぐりの雨が降れば雨水が漏れてしまう、避難所にもなる小学校の体育館の修繕、傾いている、堅下北中学校のプール改修、板張りで床が老朽化している国分中学校の体育館床改修等を最優先すべきです。
以上反対する4つの理由を述べましたが、この議案を、柏原市議会として、また、市民代表の議会人として認めてしまってもいいのでしょうか。ルル申し上げましたが、以上の理由から、議案第52号 「財産の取得について」は反対するものであります。議員の皆様のご賛同をお願い申し上げ、討論を終わります。ご清聴ありがとうございました。
その後、採決され、日本共産党議員団2人と会派に属さない議員1人の反対少数で可決されてしまいました。
他の議員さんの皆さんは賛成らしいです。本当に残念です。