日本共産党柏原市会議員 橋本みつおのブログです。

柏原市における不登校児童、生徒の実態

平成30年第2回定例会(6月議会)での個人質問の内容を紹介します。

あくまでも基本原稿なので、答弁内容や時間配分なので、変更しています。

なお、答弁は、簡略化しています。

 

教育 柏原市における不登校児童、生徒の実態についてお尋ねいたします。

 

( 大阪府では11年ぶりに1万人を超えた。柏原市では、小学校で19人。中学校で67名。不登校の背景には、無気力や不安などの情緒的混乱がある。生活習慣の乱れもある。現在、学校復帰に向けた支援を行っている)

 

答弁では、無気力や情緒的不安や生活習慣の乱れなど、子どもや家庭だけに問題があるように感じられました。

確かに不登校になる要員の1つではあると考えます。

現在、全国で不登校の児童・生徒は12万人を超えています。

根本的には、日本の学校が子どもたちにとって息苦しい場になっているのではないでしょうか。

競争的で管理的な学校や社会のうみだした問題であり、本人や家庭の責任にすることは疑問に感じます。資料①をご覧ください。

この表は、平成18年から市内の小学校・中学校で、年間を通し30日以上欠席した、不登校の人数です。

前市長が就任する前の平成24年度は、小学校・中学校の合計46人でした。平成25年は68名。26年は、60名。27年は、64名。28年は83名です。

そして、昨年冨宅市長が就任された平成29年度は、中学生が突出して増え、86名と過去で1番多くなっています。

この資料から見ると、特に平成28年度から急激に増え続けています。

一体学校現場で何が起こっているのでしょうか。

1つ言えることは、平成28年度の特徴は、おおさか維新府政の元で、今までになかった、中学校でのチャレンジテストが始まりました。

1年に1度のチャレンジテスト結果を公立高校入試の内申点に反映させるもので、全国的にも異例です。

明日の20日に行われる予定が延期された中学3年生へのチャレンジテストは、テスト結果で学校ごとの内申点の平均が決められてしまいます。

また、今年1月に実施された中学1年・2年のチャレンジテストでは、テスト結果が生徒一人一人の内申点に反映されます。

私が中学生の時は、中間テストや期末テストの点数などが反映されていましたが、今はチャレンジテストの結果が反映されるため、平成28年度では、学校がつけた内申点がテスト結果により年間延べ2万人を超える規模で変更させられたことも明らかになりました。

この結果、大阪府下の自治体の中では、学校で過去問題を配布するなどテスト対策が過熱し、子どもに競争をせまり、中学校教育をゆがめています。テストの実施が教員の業務負担を増やし、多忙化に拍車をかける1つの要因になっています

日本共産党は、子どもを過度な競争にさらし、中学校教育を大きくゆがめるチャレンジテストを一刻も早く廃止・撤回を求めています。同時に柏原市としては、平成28年度からは、柏原市でも独自のかしわらっ子はぐくみテストを小学校全学年で実施しました。

ここでお聞きしますが、教師の多忙化の問題も不登校の要因の1つと考えますが、いかがでしょうか。お尋ねいたします。

 

( 社会が教員に求めるニーズが多様化していること。日々の学習指導に加え、不登校児童への対応、保護者対応、言葉使い等しのしつけとして、ミニつけるべきとこまで教員が教えることが求められている。また、配慮を要する子供たちも増え、一人、一人にあった対応が求められている。その状況は、日々子どもたちと接しての人格形成にじっくりと関わっていくという、教員本来の使命を果たすことを困難にしている。 )

 

日々の学習指導に加え、様々な要因があることがわかりました。

そして、教育現場に起こっている大きな問題が「日々子どもたちと接しての人格形成にじっくりと関わっていくという、教員本来の使命を果たすことを困難にしている。」と答弁がありましたが、これこそ不登校の子供たちが増える大きな要因ではないでしょうか。

日々の学習指導において、国・大阪府・柏原市の独自テストで先生にプッレッシャーがかかり業務負担を増やす事になっているのではないでしょうか。

そして、全国学力テストの問題です。全国の小学6年生と中学3年生全員を対象に、国語と算数・数学、理科の3教科で全国学力テストを実施しています。

2007年に第1次安倍晋三政権のもとで始まった学力テストは、点数競争をますます激化させ、矛盾を広げています。

 全国学力テストは「子どもの学力の状況を調べる」「指導の改善に役立てる」などを理由に導入されました。

しかし、その実態は子どもと教師をテストの点数による激(はげ)しい競争に追い込んでいます。 

各教育委員会は「全国の平均点より上に」などと学校と教師をあおり、柏原市のように自治体独自の学力テストも広がりました。

学校現場は子どもたちに過去の問題や類似問題を繰り返しやらせるなどの「学力テスト対策」に追われ、「本来やるべき授業ができない」など深刻な問題が起きています。

教育内容が画一化され、子どもに生きた学力をつけようと創意工夫した授業をする自由が奪われています。

このような中で注目していただきたいのが、福井県議会の意見書です。

全国学力テストで毎年最上位になっている福井県では、教師から激(はげ)しい叱責(しっせき)を受け続けた中学生が自殺するという痛ましい事件をきっかけに、昨年末、県議会が「県の教育行政の根本的見直しを求める意見書」を採択しました。

 この意見書は「学力日本一」を維持することが福井県全域において教育現場に無言のプレッシャーを与え、教員と生徒のストレスの要因となっている。

過度の学力偏重を避けることや福井県独自に行っている学力テストなどを学校の裁量にゆだねることや義務教育課程においては、発達の段階に応じて、子どもたちが自ら学ぶ楽しさを知り、人生を生き抜いていくために必要な力を身につけることが目的であることを再確認する内容が意見書として掲げられました。

学力テストの点数アップを至上命令にすることの問題点が、政党・会派を超えた議員も含め幅広く認識されてきていることを示すものです。

 文科省も一昨年、「数値データの上昇のみを目的にしているととられかねないような行き過ぎた取り扱いがあれば、それは調査の趣旨・目的を損なう」とする「通知」を出さざるをえなくなりました。

しかし、「行き過ぎ」は、全国の子どもに統一テストをして点数を比べるという制度そのものに原因があり、抽出調査にする、あるいは廃止する以外に解決の道はありません。

 教員の長時間労働の解消の点でも、学力テストの見直しは喫緊の課題です。全国学力テストには毎年50億円以上も投じられています。広島県は、業務改善の面から県独自の学力テストを廃止しました。

全学年での35人学級実現や教員定数を増やすことこそ必要です。 

一人ひとりの子どもに教師の目が行き届き、学習の遅れがちな子どもにも丁寧に対応できるようにし、多忙化を解消して教師が準備に十分時間をかけ、創意あふれる授業ができるようにしてこそ、子どもたちに確かな学力を豊かに保障することができます。

もともと日本は、国連・子どもの権利委員会から「高度に競争的な教育制度のストレスなどが子どもの発達をゆがめている」と繰り返し是正の勧告を受けてきました。

柏原市では、昨年度、86名の不登校の子どもたちがいました。

子供たちの「ほんまは、学校に行かなあかんのに、行かれへん」と心の中で葛藤している子供たちの気持ち、また、家族として、お父さんやお母さんがどんなに心配しているか、私たちは思いを寄せる必要があります。

学力テストの平均点をあげようとすれば、上げることはできるはずです。

しかしながら、学校に行くのがしんどくなった子供を、再び学校現場に戻すことは、並大抵ではありません。

平均点を1点2点あげるようにはいきません。

人格を持った人間なんです。

 過度の競争が強いられるもとで、自己肯定感を持てない子どもが増えています。

競争に勝ち抜くための教育ではなく、基礎的な学力を身に着けるとともに、一人ひとりの個性や可能性を伸ばし、「自分が自分であって大丈夫というお互いの存在・人格を認め合い、自分で判断をする力を大切にする教育を一人一人に寄り添いながら進めていくことこそが必要です。

公教育の目的は、テスト学力を身につけさせることでも、学力テストの平均点を上げることでもありません。人格の完成を目指し、子どもたちに豊かな学力と人間的な発達を保障していくことです。

そのためには、一人一人の子どもの生活実態や発達段階、そして子どもの集団関係等をしっかりと見詰めながら、指導を積み上げていくことが重要であると考えます。

教育委員会として、統一テストの平均点を1点あげる教育ではなく、1人でも不登校の子供をなくし、学校が好き、勉強がわかる、と思う子どもが増える環境づくりと対応をお願いします。